(くろ)とはの一つで、無彩色のような色である。人間可視領域における全帯域にわたりむらなく感得されないこと、またはそれに近い状態、ないしそのように人間の視覚に感じられる状態である。黒は下のような色である。黒色(コクショク、くろいろ)は同義語


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black
 
16進表記 #000000
RGB (0, 0, 0)
CMYK (0, 0, 0, 100)
HSV (-°, -%, 0%)
マンセル値 N1
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日本語の「くろ」や漢字の「」は、「」「砂糖」というように、翻訳においては、黒、茶色褐色と、英語のblack, brownが整合しないことがある。

光源色としての黒

Black (webcolor)
  16進表記 #000000

色を光として見る時、黒は、がほとんど全くない状態を意味する。例えばRGBにおいては、3色ともない状態である。従って、ブラウン管は本来、黒として発色することはできないため、テレビ映像では他の色とのコントラストの調整によって人の目には強い黒として錯覚させている。ちなみに、ウェブブラウザでBlackと指定した時は、#000000として定義される。

物体色としての黒

99.965%の可視光を吸収し反射を押さえた物質(ベンタブラック

物体の黒は、理想としては光の反射率が0で、全ての波長の光を吸収する色である。絵具三原色の3色を混ぜる(減法混合)と黒になる。全ての波長を完全吸収する物質(黒体と呼ばれる)は存在しないが、それに近づけるべく、カーボンナノチューブなどを使った素材(暗黒シート)の研究開発が行われている。日本産業技術総合研究所(産総研)などが開発した暗黒シートは、光の吸収率が99.5%以上で、折り曲げも可能。シリコーンゴムの表面に数十マイクロメートルの凹凸を無数につくり、その窪みに光の反射を閉じ込めて濃い黒色に見えるようにしている[1]イギリスのサリーナノシステムズ社が開発した塗装技術は、カーボンナノチューブを使い、当たった光の99.9%以上を吸収する。アメリカ合衆国マサチューセッツ工科大学もカーボンナノチューブを使った黒い物質を2019年に開発発表している[2]

「黒光り」という言葉があり、黒の色材・色料(絵具塗料)に光沢を付与すれば実現できる。「黒光り」という語は塗装面の平滑さなどから来る艶、表面反射を意味していると言える。

熱を吸収することを利用した黒色のフォイルが、料理に使用されている。

白に比べて黒は物体を小さく見せる効果がある。たとえば、囲碁に用いる碁石は白石(直径21.9mm)よりも黒石(同22.2mm)の方が0.3mm大きく作られている[3]

黒の色料

塗装描画文字書きに使われる黒色系の色料・道具には、上記の絵具や塗料のほか、インク鉛筆木炭などがある。他の色との混ざり具合や黒色としての濃淡、光の反射度合いは様々である。光をほとんど反射せず、人間の目には真っ黒に見える塗料も市販されている[4]

黒い顔料は存在するが、黒い染料は厳密には存在しないとされる。染色で黒色を発色させる際は色の染料を濃くした物を使用する場合がほとんどである。故に紫色の染料(紫根ムラサキイガイ)が貴重品だった時代、黒は高貴な色ともされた。中世イングランドエドワード黒太子の由来もここから来ているとされる。「#近似色」も参照。

カーボンブラック Carbon Black

カーボンブラックは、広義には炭素からなる黒色顔料の総称として使われ、後述のランプブラックやボーンブラックを含む。黒色顔料の名称としてカーボンブラックと呼ぶ場合、チャンネルブラックやファーネスブラックなどの極微細カーボンブラックを指す。チャンネルブラックは著しい漆黒度と着色力を持ち、粒子の直径は僅か10nmである。ファーネスブラックは、表面が不活性で、通常カーボンブラックとして取引されているもののほとんどはファーネスブラックである。Colour Index Generic NameはPigment Black 7である[5]

油煙 Lamp Black

ランプブラックは油を不完全燃焼させて得た「」である。使用の歴史は数千年前に遡る。生産効率は悪いが足色に美しい青みが出る特異な色合いの顔料である。Colour Index Generic NameはPigment Black 6である[5]

植物黒 Vegetable Black

植物黒は植物原料を炭化させたもので、使用材料によって「葡萄蔓黒・葡萄蔓炭、バインブラック (Vine Black)」、「桃核黒・桃核炭、ピーチブラック (Peach Black)」などと命名されるが慣用名になっており、例えば「ピーチブラック」を冠する製品は存在するものの広く一般に入手可能な製品に桃核黒・桃核炭を使用した製品は存在しない。一部製品のラベルには植物性黒の使用が記されているが、顔料は既に払底しており、実情と異なる。真正の桃核黒・桃核炭を望むならば、例えば火鉢や鞴などの簡便な道具を用いて自作するほかない。この時なるべく高温で焼成すると植物性黒らしい青味の強い黒色顔料を作ることが可能である。ただし当然ながら火には注意しなければならない。植物黒のColour Index Generic NameはPigment Black 8である[5]

骨炭 Bone Black

獣骨を焼成して製造した黒色顔料。主成分は燐酸カルシウムで、発色成分である炭素は10%前後に過ぎない。この値は原料骨によって左右される。象牙は有機物含有量が高いために、象牙黒炭素を多く含有する着色力が強い黒色顔料を作ることができる。しばしばの温床となる、扱いに注意を要する顔料である。油絵具などに見られる「アイボリーブラック」のアイボリー(象牙)は名前ばかりで、実際にはなどの骨による骨炭が使用されている。しかし2007年新たに発売された国産ブランド油絵具「油一」の「アイボリーブラック」には真正の象牙による骨炭が贅沢に使用されており、一部で話題となった。2年後の2009年、ホルベイン工業は顔料において、このほかの16種の顔料と同時に真正象牙黒を製品化した[6]。骨炭のColour Index Generic NameはPigment Black 9である[5]

黒鉛 Graphite

黒鉛は平面状の分子がきちんと層状に積み重なったもので、炭素の原子が蜂の巣状(六角形二次元的に繰り返された構造)に共役結合した平面分子である。現在、グラファイトは顔料の形で購入可能であり、鉛筆から手作りした鉛筆の粉とは性質が異なる。Colour Index Generic NameはPigment Black 10である[5]

酸化物系黒色顔料

の酸化物(マグネタイト四酸化三鉄)や、クロムの複合酸化物、銅、クロム、亜鉛の複合酸化物なども、有用な黒色顔料である。炭素系黒色顔料とは性状が大きく異なる。Colour Index Generic Nameは四酸化三鉄がPigment Black 11で[5]、銅・クロムの複合酸化物がPigment Black 28である[5]

近似色

黒い飲食品

コーヒーのように元より黒い飲料・食品があるほか、竹炭の粉末を混ぜてアイスクリームなどを黒く仕上げることもある[4]

文化・比喩としての黒

日本文化の中で黒は様々なものを象徴する色として扱われている。

上記のうち、悪いことを「黒」(ブラック)と比喩することに対しては、黒人差別反対の観点から批判も出ている[11]

脚注

  1. 「究極の黒」新型暗黒シート/産総研など開発 シリコーンゴム製」朝日新聞』朝刊2019年5月30日(科学面)2019年6月15日閲覧。
  2. 「究極の黒 求めて/光のむ新材料 産業応用探る」日本経済新聞』朝刊2019年12月8日(サイエンス面)2019年12月15日閲覧。
  3. 「囲碁雑学」『日本棋院』 2015年5月16日閲覧
  4. 光も食欲も吸収!?黒き魔力のとりこ『日経MJ』2021年1月22日(トレンド面)
  5. The Color of Art Pigment Database : Pigment Black, PBk
  6. ホルベイン専門家用顔料シリーズに17の顔料を新たに追加 (2009/06/09)
  7. 黒星コトバンク
  8. 関口晴利『囲碁ルールの研究』文芸社、2007年。
  9. 長谷川五郎『オセロの勝ち方』河出書房新社、2001年5月。
  10. 『スーパー大辞林三省堂、2013年。
  11. 「ブラック企業」呼び方に異論 「黒=悪」差別に使われてきた経緯『朝日新聞』朝刊2020年8月3日(生活面)2020年8月22日閲覧。

参考文献

  • ホルベイン工業技術部編『絵具の科学』中央公論美術出版 1994年 ISBN 4-8055-0286-X
  • ホルベイン工業技術部編『絵具材料ハンドブック』中央公論美術出版 1997年 ISBN 4-8055-0287-8
  • 川村泰夫 『日本の黒染文化史』 染織と生活社、1987年。ISBN 4-915374-13-0。全国書誌番号:88043900※絶版
  • 前田雨城 『色 -染と色彩-』 法政大学出版局〈ものと人間の文化史38〉、1980年。ISBN 4-588-20381-9。全国書誌番号:80021491

関連項目

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