一般的な焼き麩
こむぎ 焼きふ 車ふ[1]
100 gあたりの栄養価
エネルギー 1,619 kJ (387 kcal)
54.2 g
食物繊維 2.6 g
3.4 g
30.2 g
ビタミン
チアミン (B1)
(10%)
0.12 mg
リボフラビン (B2)
(6%)
0.07 mg
ナイアシン (B3)
(19%)
2.9 mg
パントテン酸 (B5)
(9%)
0.47 mg
ビタミンB6
(5%)
0.07 mg
葉酸 (B9)
(3%)
11 µg
ビタミンE
(3%)
0.4 mg
ミネラル
ナトリウム
(7%)
110 mg
カリウム
(3%)
130 mg
カルシウム
(3%)
25 mg
マグネシウム
(15%)
53 mg
リン
(19%)
130 mg
鉄分
(32%)
4.2 mg
亜鉛
(28%)
2.7 mg
(21%)
0.42 mg
他の成分
水分 11.4 g
水溶性食物繊維 1.1 g
不溶性食物繊維 1.5 g

ビタミンEはα─トコフェロールのみを示した[2]
%はアメリカ合衆国における
成人栄養摂取目標 (RDI) の割合。
沖縄県で市販されているくるま麩

(麸、ふ)は、グルテンを主な原料とした加工食品。グルテンは小麦粉で練ることで生成される。

概要

室町時代初期に明から渡来した禅僧によって製法が伝来したとされ、当時の精進料理において豆腐と共に不足しがちなタンパク質を補う食材であった。 原料を茹でて製品にした生麩(なまふ)、原料を焼成した焼き麩(やきふ)、中華料理などで使われる原料を油脂で揚げた揚げ麩(あげふ)、原料を煮た後に乾燥させた乾燥麩[3]があり、それぞれ食感が異なる。煮物汁物和え物や、すき焼きなどの鍋物の具、沖縄料理炒め物の材料としても多く用いられている。秋田などの東北地方の一部や北海道の一部ではラーメンの具として用いられている[4]。また、近年では滋賀県の一部でもラーメンの具として用いられている[5]。京都においては精進料理の材料の一つとして重用されるほか、京料理としても利用される。

花の形や、手毬の形などを食紅などを使って彩りよく形どったものは飾り麩といい、京都の「京小町麩」、「花麩」、石川県の「加賀飾り麩」などが有名である。

生麩や焼き麩は、料理以外に、菓子として用いられる事があり、前者は小豆を包んで麩饅頭、後者は生地に着色して砂糖を練り込み、麩菓子などの駄菓子とする。黒糖花林糖のような風味を持たせた麩かりんとうもある。

人間の食用以外には、焼き麩を粉状にしたものがコイヘラブナ釣りエサに用いられる。

生産地

各国の主要産地を記載する。

日本

中国

工程と種類

麩の味噌汁

生麩とその加工

小麦粉を食塩水と練って生地を作り、粘りが出たところで布などの袋に入れて水中で揉み、他のデンプン質を水中に流出させた後に残った成分がグルテンである。

グルテンを蒸したものを生麩という[6]。生麩はもち麩ともいう。生麩には米粉片栗粉などを加えて食感を調整したものや、ゴマヨモギ紅花などの素材を加えて風味や色どりを添えたものもある。生麩を油で揚げると揚げ麩になる。生麩を煮てから成形して乾燥させると乾燥麩になる。

また、上記のようにして作られたグルテンに小麦粉やもち米粉などの澱粉質やベーキングパウダーなどを加えて練り合わせ、焙り焼きしたものが焼き麩である。

このほか流出したデンプンを集めて乾燥させたものを正麩(しょうふ、漿麩)・浮き粉・じん粉と呼び、玉子焼(明石焼き)や関東のくず餅、糊や菓子の原料にされる。

揚げ麩

中国無錫の揚げ麩は、団子状に丸めた生麩を、菜種油などで揚げて作る。揚げることで気泡を作り、直径6cm程度の大きな球に膨らませてある。

油麩(仙台麩)は、棒状の揚げ麩。旧仙台藩地域(岩手県南部および宮城県)の伝統食材である。

汁物に使う時は、水戻しせずに料理に使え、適当な大きさに切って煮物に入れることによりコクが出る。汁気の少ない料理に使う時は、水戻しが必要。

焼き麩

車麩の煮付け

焼いて加工する麩には直火焼きの車麩や板麩、釜を用いる釜焼き麩がある[6]

車麩
竹輪のように、アルミの棒に麩の生地を巻いて、回転させながら直火焼きする工程を3回ほど繰り返し、層状にしたもの。沖縄料理に欠かせない。石川県新潟県でもよく食されている。
板麩
短冊似の板状に成形して焼いた物。山形県庄内町の「庄内麩」が有名。
釜焼き麩
釜焼き麩には、鋳物釜や鉄板釜などで焼く平釜焼きの製品(小町麩、切麩、おつゆ麩等)と花麩や松茸麩などの型釜焼きの製品がある[6]

郷土食における麩

押し麩
車麩を春巻きのように押し潰したもの。山形県などで作られている。
まんじゅう麩(岩船麩)
饅頭型をした麩。新潟県村上市岩船地区が発祥地とされ、「岩船麩」として知られる。同県の下越地方で作られる。
つぶし麩
まんじゅう麩に蒸気を当てて蒸し、軟らかくなったところを円盤状に押し潰したもので、密度が高い。
「大和麩」
大和麩
奈良県独特の麩で、バゲットのような形をしている。好みの大きさに切って使える。
角麩
成形に簾(すだれ)を使った四角形状の麩で、面には波状の模様がつく。生麩と乾燥麩がある。
角麩は名古屋市周辺や尾張地方・岐阜県美濃地方で製造・消費される生麩で、この地域ではスーパーマーケットなどの小売店でもよく見かける[7][8]
これを「すだれ麩」と呼ぶ地方が存在し、石川県では生麩で治部煮の材料であり、茨城県結城市では長方形状の薄い乾燥麩で塩分が強く、水で戻して塩抜きしごまあえに調理され、冠婚葬祭の時などに食べられてきた[3]
安平麩(あんぺいふ)
山口県で生産される丸型の焼き麩。原材料はグルテンと小麦粉。一見シュークリームを思わせる外見をしている。
丁字麩(ちょうじふ)
京都、滋賀名産の四角形の焼き麩。畔畝や条里の線に見立てた筋が入っている。
豆麩
ボーロの形をした麩。福島県会津地方の郷土料理こづゆの材料に使われる。岩手県久慈市などで食べられるまめぶ汁で使われる材料とは異なる。

歴史

中国では麺筋(麪筋、めんきん、麵筋 / 面筋、miànjīn)と呼ばれ、宋代に書かれた『夢渓筆談』にもその名が登場する。日本では「麩」という字で(ふすま)を指し、後にその加工品である麪筋にもこの字が当てられた(『本朝食鑑』)。また、小麦そのものが中国大陸から伝来されたことから唐粉(からこ、殻粉)とも称した。鎌倉時代には唐粉を宮廷に貢納する供御人(唐粉供御人)がいた。「麩=ふ」としての最古の記録は南北朝時代に書かれた『嘉元記正平7年(1352年)5月10日条に登場する「フ」の記述である(なお、同条に「フ」と併記されている「ウトム」がうどんの最古の記録とされている)。禅宗の広まりとともに精進料理や懐石料理などで麩が採用され、日本の食卓でも馴染みのものになっていった。

なお、中国では麩の原料のグルテンを麩質(ふしつ、麩質 / 麸质、fūzhí)もしくは麩質蛋白(ふしつたんぱく、麩質蛋白 / 麸质蛋白、fūzhídànbái)と呼ぶ。

脚注

  1. 文部科学省 「日本食品標準成分表2015年版(七訂)
  2. 厚生労働省 「日本人の食事摂取基準(2015年版)
  3. 地産地消事業 〜郷土料理推進事業〜”. 結城市(茨城県) - 健康増進センター - 結城市食生活改善推進員 (2012年9月12日). 2012年10月20日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年9月28日閲覧。
  4. 「秘密のケンミンSHOW」 2011年4月28日(木)放送内容 - 価格コム
  5. 滋賀拉麺維新会公式ブログ「湖国ブラック」
  6. 第3章 資料”. 文部科学省. 2020年5月20日閲覧。
  7. 麩や銀”. なごや食フェスタ2010. なごや食フェスタ実行委員会. 2012年8月4日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年9月28日閲覧。
  8. 野瀬泰申(文化部編集委員). 3杯目編 第1回 おでん再論(予鈴)ご当地おでん種を探せ”. 日本経済新聞. 2015年9月28日閲覧。

関連項目

外部リンク

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