訓詁学

訓詁学(くんこがく)または訓詁とは、主に儒学の下位分野で、儒教の経典(経書)に出てくる語句の意味解釈説明する行為をさす。具体的には、経典の注釈書を著したり、経典の言語(古代漢語)の辞書を編纂したりする行為をさす。そのような行為は、経典の正統な解釈を定める行為でもあった。

論語』の注釈書『論語集解』。画像中央の小さい文字(割注)で書かれた「慍怒也」が訓詁の典型例。

概要

訓詁という行為は、古代の言語を解釈することである。もともとは「訓」や「詁」「故」とだけ使われていたが、後に「訓詁」「訓故」「詁訓」「故訓」などと使われた。日本語漢字訓読みの「訓」もこれに由来する。

典型的には「A、B也」「A者B也」(AとはBという意味である)という形をとる。また一致する音声で解釈を施すものを「声訓」と呼び、古くから行われていた。「徳、得也」「政、正也」「仁、人也」といったものである。

訓詁学は経学小学に含まれる。

注釈書

訓詁は古籍に対する注釈として行われた。後漢古文学において特に発展し、から魏晋南北朝時代初において隆盛したので漢唐訓詁学の名がある。主な注釈書には『五経正義』『十三経注疏』といったものがある。

漢唐訓詁学は宋明理学と対比される。宋明理学においても『四書集注』などの注釈書が記されたが、漢唐までと異なり独自の思想体系をもとに解釈していた。一方、清代考証学は、そのような宋明理学の手法を否定して、漢唐訓詁学の復興を目指した。

辞書

訓詁学の辞書のことを、「訓詁書」「訓詁の書」という。または広義の「字書」ともいう。20世紀の言語学者河野六郎は「義書」という呼称を提唱した。主な訓詁書(義書)として、漢代前後に編纂された『爾雅』『広雅』『方言』『釈名』といったものがある。

清代の考証学においては、これらの訓詁書が重要視され、訓詁書を研究する書物・疏本が多数書かれた。その例として、邵晋涵『爾雅正義』、郝懿行『爾雅義疏』、王念孫『広雅疏証』、戴震『方言疏証』、畢沅『釈名疏証』、王先謙『釈名疏証補』などがある。

関連項目

関連文献

  • 洪誠 著 / 森賀一恵、橋本秀美 共訳 『訓詁学講義―中国古語の読み方』 アルヒーフ、すずさわ書店、2004年。ISBN 9784795401792。
  • 中川仁(監修・解説)賈恬立・馬嵐・龐淼・土屋真一・吉田雅子(解説)(2020)「戦後初期日本における中国語研究基礎資料」 近現代資料刊行会

外部リンク

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