統合幕僚長

統合幕僚長(とうごうばくりょうちょう、: Chief of Staff, Joint Staff)は、統合幕僚監部の長であり、自衛官の最高位者[1]。階級は陸将、海将または空将のいずれか[2]で、陸上幕僚長海上幕僚長または航空幕僚長の中から持ち回りで選出される。警察庁長官及び各省事務次官と同等の政令指定職8号。

日本
統合幕僚長
Chief of Staff, Joint Staff
統合幕僚長旗
現職者
陸将山崎幸二(第6代)

就任日 2019年(平成31年)4月1日
行政府
防衛省
種類自衛官
所属機関統合幕僚監部
任命防衛大臣
初代就任林敬三(統合幕僚会議議長)
創設1954年(昭和29年)7月1日
ウェブサイト防衛省・自衛隊

概要

外国軍の統合参謀総長あるいは国軍参謀総長に相当し、陸海空の自衛隊の運用に関し一元的に防衛大臣を補佐し、統合幕僚監部の所掌事務に係る大臣の指揮命令は、全て統合幕僚長を通じて行う(統合幕僚監部の所掌事務に係らないものは、従来通り、陸海空各幕僚長を通じて行う)[3]有事の際には、フォースプロバイダー(練度管理責任者)の陸上幕僚長海上幕僚長航空幕僚長から提供された各部隊を、自衛官最高位のフォースユーザー(事態対処責任者)として運用し、陸自の陸上総隊司令官方面総監、海自の自衛艦隊司令官地方総監、空自の航空総隊司令官に大臣の命令を執行することになる[4][5][6]。法形式上は、防衛大臣が指揮命令をし、統合幕僚長は大臣の補佐及び命令の執行をするが、実質上は統合幕僚長の指揮と言える[7]。また、統合幕僚長は職務を行うにあたり、陸海空各幕僚長に対し、必要な措置をとらせることができる[4]

階級章は、陸海空各幕僚長たる将と同じ4つ星[8]で、旧軍や諸外国軍における大将相当官とされ、左胸(ポケット)には統合幕僚長の身分を示す統合幕僚長章を着用する[9]。この統合幕僚長章はかつては統合幕僚会議議長章であり、1962年(昭和37年)12月1日に4つ星が制定された際、陸海空各幕僚長が左胸に着けていた幕僚長の身分を示す幕僚長章が廃止されたのに対し、本章は初代統幕議長以来、連綿と受け継がれている。

統合幕僚監部の設立までは、統合幕僚会議の長として統合幕僚会議議長(とうごう-ばくりょう-かいぎ-ぎちょう)、略して統幕議長(とうばくぎちょう)が置かれていた。

2006年(平成18年)3月27日、「統合幕僚会議」が「統合幕僚監部」に改編され、統合幕僚会議議長も統合幕僚長となり、権限も強化された。最後の統合幕僚会議議長は、2004年(平成16年)8月30日に就任した先崎一陸将である。なお、統合幕僚長・統合幕僚会議議長ともに自衛官の最上位であるため、退任すなわち退官となる。退官に際しては、皇居への参内と園遊会への招待を受けることが慣例となっている。

  • 防衛大臣からの指揮監督系統[5]
部隊運用
 
 
防衛大臣
 
 
 
 
 
 
統合幕僚長
 
 
 
 
 
 
 
部隊運用以外
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
陸海空各幕僚長
 
 
 
 
 
 
統合任務部隊指揮官
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
陸上総隊司令官等
 
 
 
 
 
 
 
 
 
自衛艦隊司令官等
 
 
 
 
 
 
 
 
 
航空総隊司令官等
 
 
 
 
統合幕僚長の権限[4][10][5][3]
統合幕僚長陸海空各幕僚長
防衛大臣の補佐自衛隊の運用に関して軍事専門的観点
からの補佐を一元的に行う
各自衛隊の隊務(運用を除く)に関する
専門的助言を行う
部隊への権限フォースユーザーフォースプロバイダー
対象となる部隊3自衛隊・共同の部隊統合任務部隊各自衛隊

定年

陸将・海将・空将たる自衛官は60歳を以て定年退官となるが、統合幕僚長たる陸将、海将、または空将の定年は62歳となっている[11]。陸将・海将・空将の定年を超えて統合幕僚長の職位にある自衛官が統合幕僚長の職務を辞任したり、解任された場合はその時点で定年に達したものと見做され自動的に定年退官となる。

叙勲

日本の叙勲制度では70歳以上が授与対象者となっており、従来は原則として統合幕僚会議議長経験者には瑞宝重光章(旧勲二等瑞宝章)が授与されていたが、内閣総理大臣安倍晋三の「高い士気と誇りを持って任務を遂行できるようにしなければならない。今後も自衛隊員に対し、任務にふさわしい名誉や処遇が与えられるよう不断に検討する。」との方針で、2014年から統合幕僚長(旧統合幕僚会議議長)経験者には70歳に達した後に瑞宝大綬章(旧勲一等瑞宝章)が授与されるようになった[12]

歴代の統合幕僚会議議長及び統合幕僚長

歴代の統合幕僚会議議長及び統合幕僚長(たる自衛官)
写真階級氏名在任期間出身校・期前職備考
統合幕僚会議議長
1陸将林敬三1954.07.01 - 1964.08.13東京帝国大学第一幕僚長内務官僚出身
2海将杉江一三1964.08.14 - 1966.04.29海兵56期・
海大37期
海上幕僚長
3陸将天野良英1966.04.30 - 1967.11.14陸士43期・
陸大52期
陸上幕僚長
4空将牟田弘國1967.11.15 - 1969.06.30陸士43期航空幕僚長
5海将板谷隆一1969.07.01 - 1971.06.30海兵60期海上幕僚長
6陸将衣笠駿雄1971.07.01 - 1973.01.31陸士48期・
陸大55期
陸上幕僚長
7陸将中村龍平1973.02.01 - 1974.06.30陸士49期・
陸大56期
8空将白川元春1974.07.01 - 1976.03.15陸航士51期・
陸大58期
航空幕僚長
9海将鮫島博一1976.03.16 - 1977.10.19海兵66期海上幕僚長
10陸将栗栖弘臣1977.10.20 - 1978.07.27東京帝国大学陸上幕僚長超法規発言で辞任
11陸将高品武彦1978.07.28 - 1979.07.31陸士54期
12空将竹田五郎1979.08.01 - 1981.02.15陸航士55期航空幕僚長
13海将矢田次夫1981.02.16 - 1983.03.15海兵72期海上幕僚長
14陸将村井澄夫1983.03.16 - 1984.06.30陸士58期陸上幕僚長
15陸将渡部敬太郎1984.07.01 - 1986.02.05陸士60期
16空将森繁弘1986.02.06 - 1987.12.10陸航士60期航空幕僚長
17陸将石井政雄1987.12.11 - 1990.03.15立教大学陸上幕僚長
18陸将寺島泰三1990.03.16 - 1991.06.30東北大学
19海将佐久間一1991.07.01 - 1993.06.30防大01期海上幕僚長
20陸将西元徹也1993.07.01 - 1996.03.24防大03期陸上幕僚長後に防衛大臣補佐官
(後の防衛大臣政策参与)
21空将杉山蕃1996.03.25 - 1997.10.12防大04期航空幕僚長
22海将夏川和也1997.10.13 - 1999.03.30防大06期海上幕僚長
23陸将藤縄祐爾1999.03.31 - 2001.03.26防大08期陸上幕僚長
24空将竹河内捷次2001.03.27 - 2003.01.27防大09期航空幕僚長退任後、防衛省顧問
25海将石川亨2003.01.28 - 2004.08.29防大11期海上幕僚長
陸将先崎一2004.08.30 - 2006.03.26防大12期陸上幕僚長初代統合幕僚長へ
統合幕僚長
1陸将先崎一2006.03.27 - 2006.08.03防大12期統合幕僚会議議長定年延長(3ケ月)
退任後、JMAS会長
2海将齋藤隆2006.08.04 - 2009.03.23防大14期海上幕僚長退任後、防衛省顧問
3陸将折木良一2009.03.24 - 2012.01.30防大16期陸上幕僚長退任後、防衛大臣補佐官
(後の防衛大臣政策参与)
4空将岩崎茂2012.01.31 - 2014.10.13防大19期航空幕僚長退任後、防衛大臣政策参与
5海将河野克俊2014.10.14 - 2019.3.31防大21期海上幕僚長定年延長(3回:2年6ケ月)
退任後、防衛省顧問
6陸将山崎幸二2019.4.1 -防大27期陸上幕僚長

脚注

  1. 防衛省設置法 第21条
  2. 防衛省組織令 第53条
  3. 防衛省 (2009年). 防衛大臣を補佐する体制/2009年防衛白書”. 2020年11月21日閲覧。
  4. 自衛隊法 第8条、第9条及び第9条の2
  5. 防衛省 (2010年). 統合運用体制の概要/2012年防衛白書”. 2020年11月21日閲覧。
  6. 統合運用について 防衛省 2010年3月
  7. 福好昌治「陸海空自衛隊の統合運用 『統合幕僚長』の権限と責任」『軍事研究』、株式会社ジャパン・ミリタリー・レビュー、 82-94頁、 ISSN 0533-6716
  8. 1962年(昭和37年)12月1日、自衛隊法の一部改正により現在の階級章が制定された。それ以前は他の将と同じ階級章であった。
  9. 統合幕僚長章に関する訓令
  10. 防衛省設置法 第22条
  11. 自衛隊法施行令第60条及び別表第9
  12. 元統幕議長への瑞宝大綬章は首相指示 産経ニュース 2014年7月15日

関連項目

外部リンク

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