海洋物理学

海洋物理学(かいようぶつりがく、: physical oceanography[1][2])とは、海流がどこをどのように流れているかなど、海洋物理的な条件・状態及び運動を記述・研究する学問である[3][4]。海洋物理学は「記述海洋物理学」(記述海洋学、descriptive physical oceanography[5])と「理論海洋物理学」から構成され、前者の目的は海洋観測による海洋の状態、変動、物質分布の解析および記述であり、後者の目的はそのメカニズムを説明する理論・数値モデルを構築することにある。

津波メカニズム研究も海洋物理学の対象

概要

記述海洋物理学に用いられる海洋観測は多岐にわたり、海洋化学海洋生物学とも重なる部分がある。観測船(みらいなどの研究船による観測航海[6][7]商船などの篤志観測船(: Voluntary Observing Ship、略称:VOS[8]による観測)、漂流・固定ブイによる現場観測が主流であったが、技術的発展により様々な観測方法が提案され、海洋光学(光学の応用)、[9][10][11]海洋音響学(音響学の応用)、[12][13][14]衛星海洋学人工衛星によるリモートセンシングの応用)[15][16][17]などのサブカテゴリが存在する。

理論海洋物理学(海洋力学)は、気象力学とともに地球流体力学の一部分をなし、流体力学熱力学などを基礎とした応用科学である。計算物理学の一分野としても発展しており、[18]多くの海洋数値モデルプログラム(ほとんどは差分法による微分方程式数値積分によって解かれ、[19]有限要素法境界要素法によるものは稀)がGPLなどのライセンスによって無料で公開されている。[20][21]近年では地球シミュレーターなどの計算機の発展により、現実的な海洋に極めて近い状態をシミュレートできるまでに至っているが、[22]混合のパラメタリゼーションなどの課題も多く残されている。

脚注

  1. 文部省編『学術用語集 海洋学編日本学術振興会、1981年。ISBN 4-8181-8154-4。
  2. Knauss, J. A., & Garfield, N. (2016). Introduction to physical oceanography. Waveland Press.
  3. 海洋の物理学、花輪公雄、共立出版
  4. 海で起きている現象を物理と数学で解き明かすのが海洋物理学 大分大学教育福祉科学部
  5. Talley, L. D. (2011). Descriptive physical oceanography: an introduction. Academic Press.
  6. 米山邦夫. (2000). 海洋地球研究船 「みらい」 による観測研究. 日本航海学会誌 NAVIGATION, 143, 159-171.
  7. 米山邦夫. (2000). 海洋地球研究船 「みらい」 による大気・海洋観測 (<特集> 海洋調査). らん: 纜, 47, 13-18.
  8. Kent, E., Hall, A. D., & Leader, V. T. T. (2010, February). THE VOLUNTARY OBSERVING SHIP(VOS) SCHEME. In Proceedings from the 2010 AGU Ocean Sciences Meeting. American Geophysical Union, 2000 Florida Ave., N. W. Washington DC 20009 USA,.
  9. 海洋環境光学、杉森康宏 (編)坂本亘(編)、1985年、東海大学出版会
  10. Jerlov, N. G. (1976). Marine optics. Elsevier.
  11. Jerlov, N. G. (2014). Optical oceanography, Elsevier.
  12. 海洋音響の基礎と応用、海洋音響学会(編)、2004年、成山堂書店
  13. Buchanan, J. L., Gilbert, R. P., Wirgin, A., & Xu, Y. S. (2004). Marine acoustics: direct and inverse problems. Society for Industrial and Applied Mathematics.
  14. Caruthers, J. W. (1977). Fundamentals of marine acoustics. Elsevier.
  15. Robinson, I. S. (2004). Measuring the oceans from space: the principles and methods of satellite oceanography. Springer Science & Business Media.
  16. Maul, G. A. (2012). Introduction to satellite oceanography (Vol. 3). Springer Science & Business Media.
  17. Robinson, I. S. (2010). Discovering the Ocean from Space: The unique applications of satellite oceanography. Springer Science & Business Media.
  18. 日高孝次. (1970). 海洋力学における数値解法の応用. 日本海洋学会誌, 26(4), 237-241.
  19. Blayo, E., & Debreu, L. (1999). Adaptive mesh refinement for finite-difference ocean models: first experiments. Journal of Physical Oceanography, 29(6), 1239-1250.
  20. 例えばデルフト工科大学が開発したSWASHアメリカ海洋大気庁MOM等がある。
  21. Prinos, Panayotis (2020): Modelling coastal hydrodynamics. Available from (accessed on 20-02-2021)
  22. 松野健 (1990) 電子計算機の発達と数値実験 ―海洋物理学の場合― センターレポート, 9, pp.27-35; 長崎大学総合情報処理センター. http://hdl.handle.net/10069/25360

関連項目

外部リンク

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