条鰭類

条鰭類(じょうきるい、Actinopterygii)は、魚類(=四肢動物以外の脊椎動物)の下位分類群の一つ。分類階級としては条鰭亜綱。

条鰭亜綱
分類
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
上綱 : 顎口上綱 Gnathostomata
: 硬骨魚綱 Osteichthyes
亜綱 : 条鰭亜綱 Actinopterygii
学名
Actinopterygii Klein, 1885[1]
下綱

現生の魚類の大部分にあたる2万6,891種が所属し、およそ4億年前のシルル紀後期に出現して以降、多様な進化および水中環境への適応を遂げた条鰭類は、現代のあらゆる海洋陸水域で繁栄するグループとなっている。

姉妹群は四肢動物ハイギョシーラカンスからなる肉鰭亜綱で、肉鰭亜綱と条鰭亜綱を合わせて硬骨魚類と総称される。

条鰭類は原則として、硬骨化の進んだ内部骨格と、鰭条および鰭膜によって支えられたをもち、の代わりに(ひょう/うきぶくろ)をもつなどの特徴を有している[2]

進化史

条鰭類のレントゲン写真。骨格の硬骨化と身体の軽量化を共に果たした条鰭類は、最も多様な種分化を遂げた脊椎動物となっている

最古の条鰭類は古生代シルル紀後期に出現したとみられ、Andreolepis 属など5属が知られている。続くデボン紀から中生代三畳紀にかけて栄えた軟質亜綱の仲間は、ジュラ紀終盤までにチョウザメ目を残しほとんどが絶滅している。白亜紀以降は、高い運動能力と効率的な摂餌機構を発達させた条鰭類のサブグループである新鰭類が支配的な地位を獲得し、水圏のあらゆる環境に適応放散を果たした[3]。新鰭類の魚類は、現代では約2万6800種を擁する脊椎動物の中で最大のグループとなっている[3]

特徴

条鰭類の骨格は一部の原始的な分類群を除き、ほぼ完全に硬骨によって構成されている[4]の形態は硬鱗、円鱗あるいは櫛鱗など多様で、鱗をもたないグループも多い。は担鰭骨に支えられる鰭条と、鰭条同士をつなぐ鰭膜によって構成される。ポリプテルス目を除き、胸鰭の射出骨は肩甲骨烏口骨複合体と接続する。ほとんどの仲間は間鰓蓋骨と鰓条骨をもつ[5]。咽頭板を欠き、鼻孔は頭部の比較的上方に位置し内鼻孔をもたない[6]

系統樹

脊椎動物から条鰭亜綱まで

脊椎動物から条鰭亜綱に至る系統樹は以下の通りである[7][8]:

脊椎動物亜門

ヌタウナギ

ヤツメウナギ

軟骨魚綱
真正板鰓亜綱

メジロザメ目ガンギエイ目など

全頭亜綱

ギンザメ目

硬骨魚綱
肉鰭亜綱
輻鰭下綱

シーラカンス目

ハイギョ下綱

ハイギョ目

四肢動物下綱

四肢類

条鰭亜綱

条鰭亜綱内の系統仮説

2018年現在、条鰭亜綱の系統仮説は以下の通りである[9]:

条鰭亜綱
腕鰭下綱

ポリプテルス目

軟質下綱

チョウザメ目

新鰭類
全骨下綱

アミア目

ガー目

真骨下綱
カライワシ団

カライワシ目ソコギス目ウナギ目など

アロワナ団

アロワナ目ヒオドン目

ニシン・骨鰾団

ニシン目セキトリイワシ目ネズミギス目コイ目ナマズ目など

正真骨団

原棘鰭上目キュウリウオ上目シャチブリ上目円鱗上目ハダカイワシ上目アカマンボウ上目側棘鰭上目棘鰭上目

伝統的な分類

以下に現生種を含む分類群を、系統順位に沿っての単位まで示す。各グループの詳細、内部に含まれる絶滅群については、それぞれの項目を参照。

ケイロレピス Cheirolepis trailli(Palaeonisciformes 目)の想像図。デボン紀の化石が知られる、初期の条鰭類である
ポリプテルス目の1種 Polypterus weeksii。空気呼吸が可能で未成魚は外鰓をもつなど、現生の条鰭類としては最も原始的な特徴を残す一群
リングコッド Ophiodon elongatusカサゴ目アイナメ科)の骨格標本。上顎は前上顎骨によって縁取られ、可動性が高くなっている
ウツボ類による咽頭顎の突出機構。条鰭類は進化の過程で主上顎骨を遊離させるとともに、舌弓・下顎骨と鰓蓋骨との靱帯による連結構造を発達させ、顎の可動性・伸出性を飛躍的に高めることに成功した
イエロージャック Carangoides bartholomaeiスズキ目アジ科)の群れ。スズキ目は現代の水圏で最も繁栄する条鰭類となっている

出典・脚注

  1. 資料によって一定しない。 によると他に Cope, 1871, Cope, 1887, Cope, 1891, Woodward, 1891 など。 は(理由を挙げずに)「Cope, 1887 ではなく Klein, 1885」としている。
  2. 原始的な形態を残すポリプテルス目ガー目アミア目は空気呼吸が可能な浮き袋をもつ。
  3. 『日本の海水魚』 pp.14-18
  4. 『魚学入門』 p.23
  5. 分岐鰭亜綱は鰓条骨を、軟質下綱は間鰓蓋骨をそれぞれ欠く。
  6. 『Fishes of the World Fourth Edition』 pp.87–88
  7. キャンベル11版 p.826.
  8. 日本動物学会2018 pp.92-93
  9. 日本動物学会2018 pp.92-93
  10. カンムリキンメダイ目とも呼ばれる。

参考文献

  • [キャンベル11版] キャンベル生物学 原書11版. 丸善出版. (2018/3/20). ISBN 978-4621302767
    • 原著:Lisa A. Urry; Michael L. Cain; Steven A. Wasserman; Peter V. Minorsky; Jane B. Reece; Neil A. Campbell (2016/10/29). Campbell Biology (11th Edition). Pearson. ISBN 978-0134093413
  • 公益社団法人日本動物学会『動物学の百科事典』丸善出版、2018年9月28日。ISBN 978-4621303092。
  • Joseph S. Nelson 『Fishes of the World Fourth Edition』 Wiley & Sons, Inc. 2006年 ISBN 0-471-25031-7
  • 岩井保 『魚学入門』 恒星社厚生閣 2005年 ISBN 978-4-7699-1012-1
  • 岡村収尼岡邦夫監修 『日本の海水魚』 山と溪谷社 1997年 ISBN 4-635-09027-2
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