日本医師会

日本医師会(にほんいしかい、: Japan Medical Association、英略称: JMA)は、日本医師であることを入会の要件とする職能団体。入会は任意であり、組織率は、2019年12月1日時点で172,763人(有資格者の約5割強)である。法人の種類としては公益社団法人だが、開業医らが運営する利益団体としての性格をもつ[1][2][3]世界医師会に加盟し、本部は東京都文京区本駒込2-28-16に所在する(日本医師会館)。略称日医(にちい)。都道府県医師会、全国に約890存在する郡市区医師会は、いずれも独立した公益法人だが、日本医師会の下部組織である。本会・日本歯科医師会日本薬剤師会を合わせて「三師会」と称する。

日本医師会
Japan Medical Association
創立者 北里柴三郎
団体種類 公益社団法人
設立 1916年
所在地 東京都文京区本駒込2丁目28番16号
北緯35度43分51秒 東経139度44分53秒
法人番号 5010005004635
起源 大日本医師会
主要人物 会長 中川俊男
活動地域 日本
主眼 医道の高揚、医学及び医術の発達並びに公衆衛生の向上を図り、もって社会福祉を増進すること
活動内容 医道の高揚に関する事項 他
会員数 172,763人(2019年12月1日現在)
子団体 都道府県医師会、郡市区医師会
ウェブサイト https://www.med.or.jp/

概要

医道の高揚、医学教育の向上、医学と関連科学との総合進歩、医師の生涯教育などを目的としており、その目的を達成するため医師の生涯教育や公開の健康セミナーなどの学術活動、医療保健福祉を推進する為の医療政策の確立、生命倫理における諸問題の解決等の幅広い公益事業を行っている。また、自由民主党の支持母体で政治組織である日本医師連盟を通して政治活動を行っており選挙の際は自民党支持を公言している[4]

医師の職能団体であり、医師の権益を守り、医学および医療情報を提供する組織」であるが、圧力団体としてのイメージが喧伝され、「ヒポクラテスの誓い」に象徴されるような職種の団体として、公益法人として地道な活動をしていることは余り知られていないのが実情である。

日本医師会は強制加入団体ではなく、任意加入団体であるので、その組織率は2019年時点で全医師の約5割強に留まっている。1947年の発足時、約5万人であったが、2019年12月1日現在、172,763人を擁している。そのうち、開業医が83,368人、勤務医等が89,395人とほぼ半数ずつを占めており[5]、世界医師会に、日本で医師個人資格で加入する唯一の団体である。

平成24年度から「日本医師会 赤ひげ大賞」を産経新聞社と共同で主催して、地域医療現場で長期に住民の健康生活を支え,その地域のまちづくりに寄り添った活動を続けている医師を顕彰している[6]

沿革

誕生までの歴史

明治になって洋方医が増えるに従い、全国各地に互いの研修や親睦を目的に任意の業種団体が設立された。時代と共に組織の法定化を要望する声が高まり、1906年(明治39年)、1)医師会を郡市区医師会及び道府県医師会の2種類とする、2)官公立病院以外の医療施設で医業に従事する医師は全てその所在地の郡市区医師会員になり、道府県医師会が設立されれば管内の郡市区医師会員は自動的にその会員になる、内務省令の医師会規則により規定された。

更に1922年の改正医師会令では、a)日本医師会は、五道府県以上の医師会長が設立委員になって会則案を作成し、道府県医師会の3分の2以上の同意を得た上で設立総会を開き、その議決を経て設立することが出来る、b)日本医師会の総会は、道府県医師会がその会員である郡市区医師会の会員中より選んだ日本医師会議員を以て組織する、とされた。

1924年3月31日発行の内務省衛生局資料には、「医師会並に医学会の起源は明治8年、松山棟庵佐々木東洋等数十名の発起に由りて成立せる“医学会社”なるべし。次で1882年高木兼寛等の“成医会”及び田口和美等の“興医会”が起り、1883年佐野常民長與專齋等が“大日本私立衛生会”を、1886年には北里柴三郎が“東京医会”を設立した。その後、1906年5月2日に医師法が発布されて法定の府県郡市区医師会が誕生し、更に1923年3月に至って医師法が改正され、法定の日本医師会が設立した」と記されている。

これに先立ち、1916年北里柴三郎などにより初めての全国的組織である大日本医師会が設立されたが、1919年の医師会令公布により郡市区医師会、道府県医師会が次々と法的に整備された為、その上部機構である大日本医師会も法定化を急ぐべきとの意見が高まり、医師会令も改正され、1923年11月25日、日本医師会創立総会が開催され、北里柴三郎を初代会長として、ここに法定の日本医師会が誕生した。

1939年第二次世界大戦が勃発すると、 1942年には日本医療団令、改正医師会令が公布され、翌年、日本医師会は解散となり新正日本医師会が作られた。

敗戦後、1946年に中山寿彦会長以下新役員を選出して日本医師会改組審議会を発足、新制医師会設立要綱を作成し、翌年には「設立準備委員会」(委員長榊原亨以下7名)を設けた。しかし、突然、中山日医会長ら13名がGHQから呼び出され、戦争協力者に対する公職追放を医師会役員にも適用するという通告を受けた。そこで榊原委員長名を以て「昭和17年国民医療法施行後、昭和22年までの日本医師会の会則上の役員、及び都道府県医師会の支部長(副支部長以下は非該当)は、新制医師会の役員たることを自発的に辞退すべきこと」という要望を都道府県医師会に伝え、全医師会がそれをうけ容れ、1947年11月1日、高橋明を会長とする新制社団法人日本医師会が誕生した。

新生日本医師会

  • 1947年11月 - 新生日本医師会設立認可。
  • 1948年3月 - 日本医師会初代会長に高橋明を選出。日本医師会と日本医学会統合。
  • 1951年9月 - 「医師の倫理」策定。
  • 1975年10月 - 世界医師会東京総会開催。武見太郎日本医師会長が世界医師会長に就任。
  • 1987年4月 - 日本医師会生涯教育制度発足。
  • 1988年1月 - 日本医師会生命倫理懇談会「脳死は人の死」とする最終報告とりまとめ。
  • 1990年2月 - 日本医師会館移転。
  • 1990年4月 - 日本医師会認定産業医制度発足。
  • 1991年4月 - 日本医師会認定健康スポーツ医制度発足。
  • 1995年1月 - 阪神淡路大震災(救援活動展開)。
  • 1997年4月 - 日本医師会総合政策研究機構(日医総研)創設。
  • 1997年11月 - 平成設立50 周年記念式典(天皇皇后両陛下ご臨席)。
  • 2000年4月 - 「医の倫理綱領」策定(「医師の倫理」全面改定)。
  • 2000年10月 - 坪井栄孝日本医師会長が世界医師会長に就任。
  • 2003年8月 - 日本医師会治験促進センター発足。
  • 2004年10月 - 世界医師会東京総会開催。
  • 2007年1月 - 日本医師会女性医師バンク開設。
  • 2011年3月 - 東日本大震災(救援活動展開)。
  • 2013年4月 - 公益法人改革に伴い、「公益社団法人日本医師会」となる。
  • 2020年4月 - 新型コロナウイルス感染症に対応する有識者会議を設立[7]
  • 2020年12月21日 - 新型コロナウイルス感染症の急拡大に対し日本看護師会ら8団体と共に医療緊急事態宣言を発表[8]

医師会代議員選挙・会長選挙

日本医師会の会長は医師会員の代表決議機関である日本医師会代議員会で、代議員による選挙により選出され、任期は約2年間である。この代議員の選挙は都道府県医師会に委託される為、代議員会は比較的高齢の会員(平成14年1月現在平均年齢68.7歳)で構成されている。

1957年から連続13期25年間と歴代最長期間会長を務めた武見太郎は、医師会代表として保険医総辞退、全国一斉休診(事実上のストライキ)を強行するなど、開業医らの利益のための圧力団体の長として、膨張し続ける医療費削減・勤務医と開業医の格差是正を目指す厚生官僚との対決を辞さない強い姿勢から喧嘩太郎と呼ばれた[9]

2006年、前年の第44回衆議院議員総選挙郵政民営化反対派を支援して当時の内閣総理大臣自由民主党総裁小泉純一郎らから「抵抗勢力」と見なされた会長植松治雄が、政府与党との関係修復を強調した東京都医師会長唐澤祥人に敗れ、一期のみで退陣した。

歴代会長

代数氏 名学歴在 任主な前職
初代北里柴三郎旧制官立東京医学校(現在の東京大学医学部)卒1916年 - 1931年北里研究所所長
2代北島多一東京帝国大学医科大学卒1931年 - 1943年慶應義塾大学医学部
3代稲田龍吉帝国大学医科大学(現在の東京大学医学部)卒1943年 - 1946年東京帝国大学教授
4代中山寿彦東京帝国大学卒1946年 - 1948年東京都医師会長
5代高橋明京都帝国大学福岡医科大学(現在の九州大学医学部)卒1948年 - 1950年東京帝国大学医学部長
6代田宮猛雄東京帝国大学卒1950年東京帝国大学医学部長
7代谷口弥三郎熊本医科大学(現在の熊本大学医学部)卒1950年 - 1952年熊本県医師会長
8代田宮猛雄東京帝国大学卒1952年 - 1954年東京帝国大学医学部長
9代黒澤潤三東京帝国大学卒1954年 - 1955年東京都医師会長
10代小畑惟清東京帝国大学卒1955年 - 1957年東京都医師会長
11代武見太郎慶應義塾大学医学部1957年 - 1982年日本医師会代議員
12代花岡堅而旧制新潟医科大学(現在の新潟大学医学部)卒1982年 - 1984年長野県医師会長
13代羽田春兔北海道帝国大学1984年 - 1992年東京都医師会長
14代村瀬敏郎慶應義塾大学医学部卒1992年 - 1996年日本医師会副会長、東京都医師会理事
15代坪井栄孝日本医科大学医学部卒1996年 - 2004年日本医師会副会長、福島県医師会常任理事
16代植松治雄大阪大学医学部卒2004年 - 2006年大阪府医師会長
17代唐澤祥人千葉大学医学部卒2006年 - 2010年東京都医師会長
18代原中勝征日本大学医学部卒2010年 - 2012年茨城県医師会会長、東京大学助教授
19代横倉義武久留米大学医学部卒2012年 - 2020年日本医師会副会長、福岡県医師会会長
20代 中川俊男 札幌医科大学医学部卒 2020年 - 日本医師会副会長、北海道医師会常任理事

公益活動

国民に直接的な公益活動である災害医療チームや治験促進センター等の活動と、会員である医師への研修等により保健医療を充実させる活動を行っている。

日本医師会災害医療チーム

日本医師会災害医療チーム(JMAT)は、2011年に日本医師会により組織された災害医療チームである。 厚生労働省が設置する災害派遣医療チーム(DMAT)は、発災後72時間までの活動を前提した災害の急性期活動を担うものに対し、それ以降の災害医療を担っている。 東日本大震災における医療支援活動では、避難所の状況把握と改善、在宅患者・避難者の医療・健康管理を行い、今なお続く避難生活に重要な役割を果たしている。 なお、東日本大震災では米軍による支援活動「トモダチ作戦」が大きな成果を上げたが、その先駆けが日本医師会による被災地への医薬品の輸送であったとされている。

日本医師会治験促進センター

日本医師会治験促進センターは、2003年に設立され、海外では既に承認されている、あるいは既に標準薬として確立されている薬物で、わが国の臨床現場でも必要性があるが、採算性等の理由により製薬企業が治験を行わない薬物への治験のため、医師主導治験の実施支援及び大規模治験ネットワークの構築・整備等を行っている。

日本医師会生涯教育制度

日本医師会生涯教育制度は、1987年に、医師の生涯学習の支援体制整備を目的として発足し、カリキュラムに基づいた講習会への参加、e-ラーニング、体験学習、学会参加・発表、論文執筆等の業績・結果を評価し、基準に達した医師には日本医師会長が日医生涯教育認定証を交付している。

日本医師会認定産業医制度

日本医師会認定産業医制度は、1990年に、産業医の資質向上と地域保健活動の一環である産業医活動の推進を図るために発足した。所定のカリキュラムに基づく研修を修了した医師を日本医師会認定産業医として認定しており、5年毎に更新が行われている。 日本医師会認定産業医は、労働安全衛生規則において産業医になるための要件として位置づけられている。

日本医師会認定健康スポーツ医制度

日本医師会認定健康スポーツ医制度は、1991年に、運動を行う人に対して医学的診療のみならず、メディカルチェックや運動処方を行い、各種運動指導者等に指導助言を行い得る医師を養成するために発足した。 所定のカリキュラムに基づく講習を修了した医師を日本医師会認定健康スポーツ医として認定しており、5年毎に更新が行われている。

日本医師会医学図書館

日本医師会医学図書館は、著作権法上、大学附属図書館と同じく資料の複製が認められる図書館であり、専門雑誌や書籍などの資料を揃えている。 また、日本医学図書館協会等の相互利用ネットワークにより、全国の大学附属図書館や専門図書館、海外の図書館との連携を行っている。

日本医師会女性医師支援センター

日本医師会女性医師支援センターは、2006年に活動を開始し、「女性医師バンク」による就業継続、復帰支援(再研修を含む)や、講習会への託児サービス併設促進と補助等を行い、女性医師の活躍を支援している。

綱領

2000年4月1日に医の倫理綱領、2013年6月26日に日本医師会綱領を定めている。

医の倫理綱領

医学および医療は、病める人の治療はもとより、人びとの健康の維持もしくは増進を図るもので、医師は責任の重大性を認識し、人類愛を基にすべての人に奉仕するものである。

  1. 医師は生涯学習の精神を保ち、つねに医学の知識と技術の習得に努めるとともに、その進歩・発展に尽くす。
  2. 医師はこの職業の尊厳と責任を自覚し、教養を深め、人格を高めるように心掛ける。
  3. 医師は医療を受ける人びとの人格を尊重し、やさしい心で接するとともに、医療内容についてよく説明し、信頼を得るように努める。
  4. 医師は互いに尊敬し、医療関係者と協力して医療に尽くす。
  5. 医師は医療の公共性を重んじ、医療を通じて社会の発展に尽くすとともに、法規範の遵守および法秩序の形成に努める。
  6. 医師は医業にあたって営利を目的としない。

日本医師会綱領

日本医師会は、医師としての高い倫理観と使命感を礎に、人間の尊厳が大切にされる社会の実現を目指します。

  1. 日本医師会は、国民の生涯にわたる健康で文化的な明るい生活を支えます。
  2. 日本医師会は、国民とともに、安全・安心な医療提供体制を築きます。
  3. 日本医師会は、医学・医療の発展と質の向上に寄与します。
  4. 日本医師会は、国民の連帯と支え合いに基づく国民皆保険制度を守ります。

以上、誠実に実行することを約束します。

高齢者医療費増大を巡る論争

少子高齢化によって、高齢者の医療費1割負担や無償の継続に不可能なために改革を即座に行う必要性が指摘されている。小泉政権の改革前には高齢者医療費は現役世代の4倍であり、全世代からの保険料収入を総医療費支出が約6万円も上回っていた。国民1人当たり6万円の赤字のために全体で毎年約7兆円赤字の状態かつ、増加傾向にある。そのため、小泉純一郎は「聖域なき構造改革」を掲げ、少子高齢化による医療費増大を抑制する必要があるとして、医療制度改革をいくつか行った。それでも2019年時点で医療費が右肩上がりを続け、過去最高の42兆6000億円となっている。それでも非課税世帯の高齢者のみを除いた全世代の医療費負担を現役世代と統一する抜本的改革などが求められている[9][10]

小泉政権の医療改革に対して、日本医師会は「世界保健機関(WHO)が加盟191カ国の保健医療システムについて比較した結果、総合評価では、日本が世界で一位」「経済協力開発機構(OECD)の調査では、国内総生産(GDP)に対する総医療費の比率は、日本は先進国の中で最も低いレベル」などを挙げて反対した。また、米国の医療はGDP比14%にも上る高額の医療費を使いながらWHOの総合評価は37位であり、これは民間医療保険であるが故の高額な患者負担に対して医療が見合っておらず、保険に加入できない国民が4000万人にも達していると主張した。

小泉内閣は「聖域なき構造改革」への世論の支持を背景に、経済財政諮問会議は規制改革に関する基本方針を発表した[9]。その骨子と医師会の意見は以下である[11]。小泉総理は患者・医療機関・保険者の「三方一両損」による改定を指示した[11]。株式会社の医療参入に対しては、実利追求型の企業論理が横行して医療倫理が崩壊する。『医療というのは儲かるらしいから俺たちにも一枚噛ませろ』と言う連中に医療を任せてはいけないとした[11]。医療費総額の伸びの抑制に対しては、出血は止めなければならない、診療報酬改定は実質マイナスで構わないと認めた[11]。公的保険による診療と自由診療(保険外診療)との併用(混合診療)に対しては、風邪引き腹痛など、誰にでも必要になる医療ほど保険でカバーすべきであり、それを実現している皆保険制度を維持すべきである[11]一方、生殖医療や遺伝子治療など、誰もが利用するわけではない医療や、患者が選択できる医療については、自己負担・民間保険を考えるべきと賛成した[11]。保険者と医療機関との直接契約に対して、平等性が崩壊し、フリーアクセスが崩壊するとした。

勤務医による日本医師会への批判

日本医師会は「診療報酬にしか興味がない圧力団体である」との批判もある。『誰も書かなかった日本医師会』にも、過去に日本医師会を牛耳っていた会長武見太郎が、著者に対して「会員の3分の1は欲張り村の村長だ」との記述がある。また医療政策についても、開業医の利益を優先し、勤務医をないがしろにしていると指摘されている。日本医師会自身も2012年の定例記者会見で日本医師会の現状が開業医のための団体になっていることを認め、「多くの勤務医にとって、相変わらず医師会は疑念の対象で、診療報酬でも冷遇されてきた」「B会員として勤務医は冷遇され議決権もない」「医療安全調査委員会設置問題でも勤務医の考えを分かっていない」「幹部が開業医ばかりで勤務医の意見を聞かない」と考えていると述べている。「確かに変わった」と勤務医たちから感じられる方策が日本医師会には必要と指摘されている[5]

日本医師会の最高意思決定機関は代議員会だが、その代議員の選挙が都道府県医師会に委託されている為、階層的組織である現況のもと、必然的に長年会務に携わった比較的高齢の会員のみで構成され、若手の会員からは甚だしく年齢構成が偏っているとの批判がある。一方で若い医師は、業務に多忙であり、無給ボランティアに限りなく近い、医師会業務を嫌う会員が大半である。更に高い年齢層だけでなく、時間に余裕がある割合の高い勤務医らが代議員の大半を占める。2011年8月での勤務医は日医会員の47.2%いるのに、代議員357人中38人で勤務医代議員は10.6%しかいない[5]

他医療団体との対立

医療費削減の流れもあり、少なくなる報酬を確保する動きもあり、診療報酬改定時には他医療職団体を批判する発言を幹部が行い、波紋を引き起こしている。医科である診療報酬とは別に、調剤報酬について意見する事もみられ、2013年には大手調剤薬局チェーンの役員報酬が6億円超との報道を受け[12]「医師は粥すすり、薬剤師はすき焼き三昧」と日本薬剤師会の学術大会である日本薬剤師会学術大会で発言し波紋を残した[13]

2015年には、ドラッグストアチェーンが「薬のカルテ」と呼ばれる薬剤服用歴(薬歴)を記載せずに患者へ薬を出していたことを受け[14]、これまで積極的に関与してこなかった薬剤師の調剤報酬の改定にも積極的に関与する方針を示し「行きすぎた医薬分業、押し戻す」と発言をし[15]、中医協において医薬分業批判の発言を行った[16]

薬局業界から、診療所で医師の無資格調剤の批判に対して「医師の指示があれば問題ない。薬剤師とは法の組み立て異なる」と、診療所において無資格調剤がある事を認めた形となり、診療所の無資格調剤は問題ない旨の発言をし[17]、これに対して日本薬剤師会から「調剤は少なくとも薬剤師の仕事」とし発言に対して「誤解が生じているのではないか」と反論されるなど波紋を引き起こす事になった[18]

2016年にも、日本医師会傘下の日本医師会総合政策研究機構が同様の発表をし、日本薬剤師会が医師の調剤行為は例外を除き禁止であると反論するなど[19]波紋を呼んだ。なおこの件に関しては、昭和47年及び昭和59年の国会答弁内で「医師の監督権はない」と厚生大臣や局長が答弁している[20]

2017年においても、中医協の場で医師会所属の委員から大手調剤薬局の社名を名指しして「患者からの同意を得たかかりつけ薬剤師が不在の時、他の薬剤師が対応し、かかりつけ料を算定していないか心配だ」などと不正請求の疑惑をかける発言をし、大手調剤薬局が全否定するプレスリリースを出す異例の事態を招ている[21]

2018年7月5日に開催された、厚生科学審議会・第4回医薬品医療機器制度部会において、これからの薬剤師の在り方に対する議論をする際、日本医師会副会長である委員が「医薬分業自体を見直す時期に来ているのではないか」と発言をし、2015年3月12日に開催された、内閣府の規制改革会議より医薬分業を推進すべきとしてきた意見とは正反対の意見を表明し、過去の議論を蒸し返すような発言をした[22]

2018年7月25日の同審議会でも「医薬分業の根本的な議論をすべきという議論が多々あったと思うが、それはどのように反映されるのか」と指摘、さらに「薬剤師が働きを変えれば医薬分業のメリットが感じられるとは誰も言っていない」と、不満を述べた。また今まで発言してこなかった病院薬剤師においても「病院薬剤師が輝いていない」と発言し異論が噴出、他の委員から「病院の薬剤師は輝いて活躍している」と反論を受けた[23]

関連組織

行政と同様、通知等が上意下達されてきた為、一般的には日本医師会の下部組織と理解されている47の都道府県医師会、更には約920の郡市区医師会と大学医師会等がある。しかし、いずれも独立した公益法人であり、夫々地域医療の主な担い手として、行政等と協議しつつ医師会病院、老人保健施設、看護師養成学校、健診センター、検査センター、訪問看護ステーション、地域産業保健センターなどの医療・介護・福祉・教育施設を持ち、活発に事業を展開している。日本医師会定款第10章第40条に「日本医師会に日本医学会を置く」とあり、日本医学会は、日本医師会と密接な連携の下に「医学に関する科学および技術の研究促進を図り、医学および医療の水準の向上に寄与する」ことを目的として活動している。

日本医師会総合政策研究機構(日医総研は、1)国民に選択される医療政策の企画・立案、2)国民中心の合意形成過程の創出、3)信頼ある情報の提供を達成することを目的として活動している。

日本医師連盟は、日本医師会会員相互の全国的連絡協調の下に、日本医師会の目的を達成するために必要な政治活動を行うことを目的として活動している。

日本医師会館

地上6階、地下2階。

交通

刊行物

  • 日本医師会雑誌』(月刊)ISSN 0021-4493
    1921年創刊。全会員に配付される機関誌。年2回特別号を発行。(発行部数約17万部)
  • 日医ニュース』(半月刊)
    1964年創刊。全会員に配付される医政の分野を扱うニュースレター。(発行部数約17万部)
  • JMA Journal
    1958年創刊。旧「Asian Medical Journal」。英文総合医学雑誌。アジアを中心に発行。学術論文を中心とした学術誌であった。
    2001年より「Japan Medical Association Journal:JMAJ」として日本医師会の活動報告を中心に、日医雑誌や日医総研レポートから選出された記事等を掲載。(発行部数約1,500部)
    2016年12月を最後に休刊し、JMA Journalとしてオンラインでの公表に移行した。
  • 国民医療年鑑』(年刊)
    日本医師会編、春秋社発行。1964年創刊-2006年。日本医師会の主張、施策、諸活動を中心に編纂。
  • 日本医師会年次報告書』(年刊)
    日本医師会編、東京法規出版発行。2007年創刊-2014年。国民医療年鑑の後継誌。
  • ドクタラーゼ』(季刊)
    2012年創刊。医学生向けフリーペーパー。(発行部数約7万部)

番組提供・制作協力

脚注

  1. 日本国語大辞典,世界大百科事典内言及, ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典,デジタル大辞泉,百科事典マイペディア,日本大百科全書(ニッポニカ),精選版. 日本医師会とは (日本語). コトバンク. 2021年3月3日閲覧。
  2. 「勤務医にとって医師会は疑念の対象」|医療維新 - m3.comの医療コラム (日本語). www.m3.com 29万人以上の医師が登録する日本最大級の医療従事者専用サイト. 2020年11月15日閲覧。
  3. 2012年3月時点で、会員のうち47.2%が勤務医だが、執行部は開業医が全て占めていて、勤務医の代議員は357人中38人(10.6%)である。
  4. https://news.tv-asahi.co.jp/news_politics/articles/000187439.html」テレ朝ニュース2020年7月1日
  5. 「勤務医にとって医師会は疑念の対象」|医療維新 - m3.comの医療コラム (日本語). www.m3.com 29万人以上の医師が登録する日本最大級の医療従事者専用サイト. 2020年11月15日閲覧。
  6. 日医ニュース(平成26年5月5日号)
  7. 日刊スポーツ(2020年4月18日)
  8. 共同通信2020年12月21日付「日本医師会などが「医療緊急事態宣言」」
  9. 「投資型医療 医療費で国がつぶれる前に」p23 武内和久, 山本雄士 · 2017年
  10. 湧, 古川. 医療費が過去最高の42兆6000億円、それでも進まない抜本的改革日経ビジネス電子版 (日本語). 日経ビジネス電子版. 2020年11月15日閲覧。
  11. 飯島勲 『小泉官邸秘録』 日本経済新聞社、2006年、86-88頁。ISBN 4532352444。
  12. 薬業界の役員報酬‐12社29人が1億円以上 薬事日報(2012年7月3日)
  13. 医師は粥すすり、薬剤師はすき焼き三昧日医・鈴木常任理事 “敵陣”日薬学術大会で分業批判の大立ち回り 医薬経済社(2013年9月24日)
  14. 薬のカルテ17万件未記載 調剤薬局「くすりの福太郎」 朝日新聞(2015年2月10日)
  15. 「行きすぎた医薬分業、押し戻す」中川日医副会長2016年度改定に向け調剤報酬の議論にも関与 m3.com(2015年6月28日)
  16. 分業批判一色、日医「そもそも論」繰り返し中医協で次期改定の議論開始、日薬「建設的な議論を」PHARMACY NEWSBREAK(2015年7月22日)
  17. 診療所の無資格調剤、医師の指示があれば問題ない薬剤師とは法の組み立て異なるPHARMACY NEWSBREAK(2015年9月1日)
  18. 日薬・山本会長「調剤は少なくとも薬剤師の仕事」 日医・松原副会長に反論、「誤解生じているのではないか」PHARMACY NEWSBREAK(2015年9月3日)
  19. 【日薬】医師の調剤行為、例外除き禁止‐日医総研の解釈に反論 2016年3月11日薬事日報 http://www.yakuji.co.jp/entry49553.html
  20. 第101回国会衆議院社会労働委員会議事録第19号 http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/syugiin/101/0200/10106280200019.pdf#page=22
  21. 日本調剤 中医協・中川委員の中医協での不正請求発言に猛抗議 2017年3月30日ミクスオンライン https://www.mixonline.jp/Article/tabid/55/artid/57345/Default.aspx
  22. いつまで「医薬分業の是非」を蒸し返すのか 2018/7/24日経DIオンライン https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/di/column/kumagai/201807/557114.html
  23. 高度薬学管理の担い手巡り、議論が紛糾 2018/7/26 日経DIオンライン https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/di/trend/201807/557176.html

参考文献

  • 水野肇『誰も書かなかった日本医師会』草思社
  • 水巻中正『ドキュメント日本医師会―崩落する聖域』中央公論新社
  • 近藤克則『「医療費抑制の時代」を超えて―イギリスの医療・福祉改革』医学書院。
  • 鈴木厚『日本の医療を問いなおす―医師からの提言』筑摩書房

関連項目

外部リンク

This article is issued from Wikipedia. The text is licensed under Creative Commons - Attribution - Sharealike. Additional terms may apply for the media files.