中食

日本の中食の概念

多くの場合「中食」とは、「持ち帰ってすぐ食べられる、日持ちのしない食品」のことを指す[1]。たとえばスーパーマーケットデパ地下で販売されている惣菜[2]コンビニエンスストアで販売されている弁当であり[1]、またそうした食品を食することを指す。

日本では江戸時代屋台天ぷらを家庭に持ち帰って食べることもあり、蕎麦天丼などを配達してもらう出前も存在した。基本的には食材八百屋肉屋魚屋で買ってきて、家庭内で調理して家族で食べるのが一般的な形態であった。

知恵蔵の2012年版では、「中食という言葉が登場したのは、働く女性やコンビニエンスストアが社会に定着した1980年代ごろからだと思われる」となっている。80年代以降の日本では、核家族化、単身世帯の増加などによって、家庭内での調理は減る傾向にあったが、それによって人々が外食にばかりシフトしたわけではない。日本では、中国東南アジア諸国のような安価で手軽な外食が少なく、また不景気等で高額な外食を避けるという傾向もあり、あらかじめ調理された料理を店舗で購入して持ち帰り自宅で食べるという形態の食事の割合がかなり増えた。「外食」に対して、家庭の調理による食事を「内食」と呼ぶとすれば、外部で調理されたものを家庭で食べる行為はその中間のため、「中食」と呼ぶ表現が生み出された。

なお「中食」という漢字表現は、江戸時代初期以降に「中食(ちゅうじき)」という言葉として登場しているのだが、この言葉は江戸中期に「昼食(ちゅうじき)」という言葉に変わっているので、直接的な関連性はないものと思われる[3]

「中食(なかしょく)」という用語の範囲内には、従来「仕出し」や「出前」と呼ばれていたものが含まれている。これは従来の用語をただ置き換えたのみならず、日本の家庭の食事形態の変化をも反映している[4]。日本の社会で、婚姻率の低下や高齢者の増加によって、単身者の割合が増えてきており、その結果、食事を独りでとる人の割合が増え、これを「個食化」「孤食化」という。「中食」という用語の普及は、そうした人々の需要に応えようと、弁当ひとつ、惣菜ひとつ、おにぎりひとつ、を手軽に買えるようなサービスが増えたことも反映している[4]

外食産業総合調査研究センターの推計によると、「中食産業」は2003年にはすでに外食産業の4分の1の市場規模に達していたとされる[4]。2007年の市場規模は約6兆5千億円[4]。また知恵蔵2012年版によれば、10年間で25%伸びたともされている[4]

矢野経済研究所の推計による、2010年の販売チャネル別割合の上位3つは、惣菜専門店 32.7%、コンビニエンスストア27.1%、量販店や食品スーパー 15.6%、となっている[5]

ピザチェーン店は基本的に注文を受けて配達するかテイクアウトが基本であり、特に都市部では食事スペースを持たない店舗が多い。

この他にもタイヘイヨシケイなど食材宅配サービスの多くは、食材だけでなく調理された状態(弁当)もメニューに加えており、中食を配達するサービスとも捉えられる。

米国のHMRの概念

アメリカ合衆国においてスーパーの惣菜は外食より割安であり、都市部ではテイクアウトやデリバリーが利用されていたが、1990年代半ばに家庭での本格的な食事作りを代行するホーム・ミール・リプレイスメント(HMR、Home Meal Replacement)と呼ばれる『内食代行』市場が形成されるようになった[6]。もともとホーム・ミール・リプレイスメントは米国のテイクアウトチェーンであるボストンマーケットが1995年から家庭での食品づくりを代行する商品ブランドとして用いていた名称である[7]。日本でいえばスーパーマーケットデパ地下がHMRにあたる[6]

中食の英訳にホーム・ミール・リプレイスメント(HMR)があてられる場合もある。ただし、厳密にはアメリカ合衆国のHMRの概念は内食、中食、外食を問わず用いられる概念であり同義ではない[6]

出典

  1. 高橋麻美『よくわかる中食業界』日本実業出版社 2006
  2. 「海外事例(アメリカ編)」売場で食の動向を感じチャンスの芽を - 農業協同組合新聞
  3. 「唐揚げのすべて うんちく・レシピ・美味しい店」P30、P31より、安久鉃兵著、中央公論新社、2015年3月10日発行
  4. 知恵蔵 2012 高野朋美 執筆「中食」
  5. 矢野経済研究所「惣菜(中食)市場に関する調査結果 2011」
  6. 福井晋『図解入門業界研究最新外食業界の動向とカラクリがよーくわかる本』秀和システム 、2006年、176頁
  7. ホーム・ミール・リプレイスメント 日本食肉消費総合センター、2017年7月14日閲覧。

関連項目

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