ワタカ

ワタカ(腸香、黄鯝魚、Ischikauia steenackeri)はコイ目コイ科に属する淡水魚の一種。日本固有種で、ワタカ1種でワタカ属を構成している。

ワタカ
京都水族館の飼育個体
ワタカ(熊本県・国内移入)
保全状況評価
ENDANGERED
(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
分類
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 条鰭綱 Actinopterygii
上目 : 骨鰾上目 Ostariophysi
: コイ目 Cypriniformes
: コイ科 Cyprinidae
亜科 : クセノキプリス亜科 Oxygastrinae
: ワタカ属 Ischikauia
: ワタカ I. steenackeri
学名
Ischikauia steenackeri
(Sauvage, 1883)
シノニム

Opsariichthys steenackeri Sauvage, 1883

和名
ワタカ

分布

日本唯一のクルター亜科[1]であり琵琶湖淀川水系にのみ生息していた[2]が、琵琶湖で養殖された稚アユに混ざって放流され、宍道湖手賀沼をはじめ、日本各地の河川、湖沼に定着した[2] 。しかしワタカの咽頭歯の化石が西日本を中心に発見されており、琵琶湖の固有種ではなく遺存種であるとの見方が強い[3]

形態

全長はおよそ30cm。口が斜め上向きである。オスは頭部や胸鰭、背部などに星状の点がある。体色は淡い青色で、背面は灰青緑色、腹面は白色になる。繁殖期のオスには、背面や眼の周り、胸びれなどに追い星が現れる。婚姻色は、ほとんど出ない。[4]

生態

河川の下流域や湖沼の、水草が繁茂する流れの緩やかな場所に生息する。泳ぎがうまく、中層にいる事が多い。

食性は雑食であるが、成魚になるにしたがって水草などの植物を好んで食べるようになる。田んぼなどではイネの若芽を食害することもある[5]。その食性や顔の風貌から、「うまうお、ばぎょ(馬魚)」などと呼ばれることもある(仲川明 『子供のための大和の伝説』 奈良新聞社 12刷1978年(初版70年) pp.80 - 82.)。

馬魚と呼ばれる由来としては、天理市の伝説では、永久年間開山の内山永久寺の本堂池に生息し、その後、石上神宮東大寺大仏殿の鏡池にも移された(前同 pp.80 - 82)が、その昔、後醍醐天皇が京から吉野へ行く途中、永久寺に寄った際、ウマが池のほとりで亡くなり、その亡魂が魚になったため、草を食べるようになったと伝えられている(前同 80 - 82)。永久寺の放生会の時、淀川付近のワタカを放ったものが本堂池で繁殖したとみられる(前同 p.82)。

産卵期は6月から7月にかけてであり、湖岸に生えるヨシマコモなどの葉など水面近くにある植物に、雨上がりの日の夕方から夜にかけて産卵する[4]

利用

食用にされることはほとんどなく、市場価値はほとんどない。フライフィッシングなどで釣り上げられることもあるが、本種のみを対象にして釣られることはほとんどない。

前述したように水草を中心に食べるので、増えすぎた水草を除去するのに効果があるとされる[6]。例えば琵琶湖では、増えすぎたオオカナダモなどを除去するためにワタカが放流された[7]

保全状況評価

主な生息地である琵琶湖でも個体数が激減しており、2007年に環境省レッドデータブックが改訂された際に、絶滅危惧IB類に指定された。その後、2013年には絶滅危惧IA類と評価された[8]

脚注

  1. 入江美沙, 田中里志、「コイ科魚類の咽頭歯化石からみる古環境 (PDF) 」 京都教育大学 フォーラム理科教育 2008年3月 第9号 p.33-
  2. ワタカ 国立環境研究所 侵入生物DB
  3. 中島経夫「ワタカは琵琶湖の固有種?--ワタカをめぐる生き物文化誌」(『ビオストーリー Vol.3』、生き物文化誌学会
  4. 原色日本淡水魚類図鑑(1976)
  5. 高野光之丞 ほか、「イネを食害する魚「ワタカ」の被害とその対策」 植物防疫 23(12), 517-518, 1969-12, NAID 40017913073
  6. 金辻宏明「ワタカの放流による小規模池の水草除去効果」(平成13年度滋賀県水産試験場事業報告、2002年)
  7. 「ワタカの稚魚西の湖に放流 嫌われものに光明期待」(滋賀報知新聞、2005年4月6日)
  8. 環境省第4次レッドリストの新旧対照表(五十音順)(汽水・淡水魚類) 環境省 2012年

参考文献

  • 『ヤマケイポケットガイド17 淡水魚』(2000年、山と渓谷社
  • 宮地傳三郎、川那部浩哉・水野信彦『原色日本淡水魚類図鑑』保育社、1976年、全改訂新版、149頁。ISBN 978-4-586-30032-7。

関連項目

外部リンク

This article is issued from Wikipedia. The text is licensed under Creative Commons - Attribution - Sharealike. Additional terms may apply for the media files.