メンデレビウム

メンデレビウム (: mendelevium [ˌmɛndəˈlɛviəm, -ˈliːviəm]) は原子番号101の元素元素記号Mdアクチノイド系列の金属放射性超ウラン元素であり、今日、より軽い元素の中性子の衝突により巨視的量精製することができない元素のうち、原子番号が最も小さい元素である。最後から3番目のアクチノイドであり、9番目の超ウラン元素である。軽い元素に荷電粒子を衝突させることによってのみ、粒子加速器で生成することができる。17個のメンデレビウムの同位体が知られており、最も安定であるのは258Mdで半減期は51日である。しかし、より半減期の短い256Md(半減期1.17時間)はより大規模に生産できるため、化学において最も一般的に使用される。

フェルミウム メンデレビウム ノーベリウム
Tm

Md

Upu
101Md
外見
不明
一般特性
名称, 記号, 番号 メンデレビウム, Md, 101
分類 アクチノイド
, 周期, ブロック n/a, 7, f
原子量 [258]
電子配置 [Rn] 5f13 7s2
電子殻 2, 8, 18, 32, 31, 8, 2(画像)
物理特性
固体
融点 1100 K, 827 °C
原子特性
酸化数 2, 3
電気陰性度 1.3(ポーリングの値)
イオン化エネルギー 1st: 635 kJ/mol
共有結合半径 173 pm
その他
磁性 no data
CAS登録番号 7440-11-1
主な同位体
詳細はメンデレビウムの同位体を参照
同位体 NA 半減期 DM DE (MeV) DP
257Md syn 5.52 h ε 0.406 257Fm
α 7.558 253Es
SF - -
258Md syn 51.5 d ε 1.230 258Fm
260Md syn 31.8 d SF - -
α 7.000 256Es
ε - 260Fm
β- 1.000 260No

メンデレビウムは1955年にアインスタイニウムアルファ粒子を衝突させることにより発見された。これは今日でも生産するのに使われる方法と同じである。名前は周期表の父であるドミトリー・メンデレーエフにちなんで名づけられた。使用可能なマイクログラム量の同位体アインスタイニウム253を使用すると、1時間に100万以上のメンデレビウム原子が生成される可能性がある。メンデレビウムの化学的性質は後半のアクチノイドの典型であり、+3の酸化状態が優勢であるが+2もとることができる。知られている全ての同位体は比較的半減期が短い。現在、基礎的な科学研究以外での用途はなく、少量しか生産されていない。

発見

カリフォルニア大学バークレー校のローレンス放射線研究所の60インチのサイクロトロン(1939年8月)

メンデレビウムは、合成された9番目の超ウラン元素である。1955年初頭にカリフォルニア大学バークレー校にてアルバート・ギオルソグレン・シーボーグGregory Robert Choppin、Bernard G. Harvey、およびチームリーダーのStanley G. Thompsonにより最初に合成された。チームはローレンス・バークレー国立研究所の60インチのサイクロトロンで10億個(109個)のアインスタイニウム(253Es)のターゲットにアルファ粒子(ヘリウム原子核)を衝突させることでターゲットの原子番号を2大きくし256Md(半減期77分[1])を生成した。これにより256Mdは1つの原子から1ずつ合成された最初の同位体となった。合計で17個のメンデレビウム原子が生成された[2]。この発見は1952年に始まったプルトニウムに中性子を照射してより重いアクチノイドに変えるプログラムの一部であった[3]。それ以前に超ウラン元素を合成するために使用された方法である中性子捕獲は。次の元素であるメンデレビウムを生成するベータ崩壊するフェルミウムの同位体が知られていなかったため上手くいかず、また、258Fm自発核分裂までの半減期は非常に短く、このことが中性子捕獲プロセスの成功を難しくしていたため、この方法が必要であった[1]

映像外部リンク
バークレーにおけるメンデレビウムの発見の再現

メンデレビウムの生成が可能かどうかを予測するために、チームは大まかな計算を行った。生成される原子の数は、ターゲット材料の原子数、ターゲットの断面積、イオンビームの強度、および衝撃時間の積とほぼ等しくなる。この最後の項は生成物の半減期のオーダーの時間で衝突させたときの生成物の半減期に関連していた。これにより1実験ごとに1つの元素が得られることが分かった。よって、最適条件下では、1回の実験で元素101の1つの元素が生成されることが期待される。この計算により実験が実行可能であることが示された[2]。ターゲット材料であるアインスタイニウム253はプルトニウムに照射することで簡単に生成することができた。1年間照射することで10億個の原子が得られ、半減期が3週間であることから元素101の実験は生成されたアインスタイニウムを分離精製しターゲットを作成した後1週間で行うことができた。しかし、毎秒1014個のアルファ粒子という必要な強度を得るためにサイクロトロンをアップデートする必要があった。シーボーグはそのために必要な資金を申請した[3]

画像外部リンク
メンデレビウムの発見を証明するスタイラスのトレースとメモを示すデータシート

シーボーグが資金の申請をしている間、Harveyはアインスタイニウムのターゲットに取り組み、ThomsonとChoppinは化学的分離の方法に焦点を合わせ研究した。Choppinは軽いアクチノイドの原子からメンデレビウム原子を分離するためにαヒドロキシイソ酪酸を使用することを提案した[3]。実際の合成はギオンソにより導入された反跳法により行われた。この手法では、アインスタイニウムがビームのターゲットの反対側に配置されたため、反跳するメンデレビウム原子はターゲットを離れ金でできたキャッチャー箔により捕らえられるのに十分な運動量を得る。この反跳ターゲットは、Alfred Chetham-Strodeにより開発された電気めっき法により作られた。この方法は非常に高い収率をもたらし、アインスタイニウムのターゲット材料などの珍しく貴重な生成物を研究する際に絶対的に必要なものであった[2]。反跳ターゲットは、薄い金箔上に電解的に堆積された253Esの109個の原子で構成されていた。これにバークレーのサイクロトロン内で41 MeVアルファ粒子が、0.05 cm2の面積で毎秒6×1013粒子という非常に高いビーム密度で当てられた。ターゲットは水または液体ヘリウムで冷却され、箔は交換することができた[2][4]

最初の実験は1954年9月に行われた。メンデレビウム原子からはアルファ崩壊は見られず、ゆえにギオルソはメンデレビウムは全て電子捕獲により崩壊してフェルミウムになり、代わりに実験を繰り返して、自発核分裂の事象を探す必要があることを提案した[3]。繰り返しの実験は1955年2月に行われた[3]

この元素はドミトリー・メンデレーエフにその名を由来する。

発見した日である2月19日にはアインスタイニウムのターゲットのアルファ線照射が3時間のセッションで3度生じた。サイクロトロンはカリフォルニア大学のキャンパスにあり、放射線研究所は隣の丘にあったため、この状況を対処するために複雑な手順が使われた。ギオルソはキャッチャー箔(3つのターゲットと3つの箔があった)をサイクロトロンからハーベイに渡し、彼は王水を使用してそれを溶解し、陰イオン交換樹脂カラムに通し金や他の生成物から超ウラン元素を分離した[3][5]。結果として生じた滴が試験管に入り、Choppinとギオルソはそれをできるだけ早く放射線研究所に運ぶために車で移動した。そこでThompsonとChoppinは陽イオン交換樹脂カラムとαヒドロキシイソ酪酸を使用した。溶液の滴を白金のディスクに集め、加熱ランプ下で乾燥させた。3つのディスクにはそれぞれフェルミウム、新しい元素なし、メンデレビウムが含まれていると予想されていた。最終的にそれらは自発核分裂の事象が崩壊の数と時間を示すグラフの巨大なふれとして記録されるように、レコーダーに接続された独自のカウンターに設置された。したがって、直接的には検出されなかったが、電子捕獲娘の256Fmから生じる自発核分裂の事象が観測された。最初の1つは「フレー」という声とともに同定され、その後「2番目のフレー」と「3番目のフレー」が続いた。4番目のものにより最終的に公式に101番目の元素であるメンデレビウムの化学的同定が証明された。合計で午前4時までに5つの崩壊が報告された。シーボーグはこのことが知らされ、チームは眠りについた[3]。さらなる分析と実験により生成されたメンデレビウム同位体は質量256であり、電子捕獲により半減期1.5時間でフェルミウム256に崩壊することが示された[1]

We thought it fitting that there be an element named for the Russian chemist Dmitri Mendeleev, who had developed the periodic table. In nearly all our experiments discovering transuranium elements, we'd depended on his method of predicting chemical properties based on the element's position in the table. But in the middle of the Cold War, naming an element for a Russian was a somewhat bold gesture that did not sit well with some American critics.[6]Glenn T. Seaborg
(日本語訳)われわれは周期表を発展させたドミトリー・メンデレーエフにちなんで名付けられた元素があるのはふさわしいことだと考えた。超ウラン元素を発見するほとんどすべての実験において、われわれは周期表内の元素の位置に基づいて化学的性質を予測する彼の手法に依存していた。しかし、冷戦の真っただ中に元素にロシア人の名前をつけることは、一部のアメリカの批評家にとっては納得できないやや大胆な振る舞いであった[7]Glenn T. Seaborg

これは原子番号101以上の最初の元素であり、周期表の父であるロシアの化学者ドミトリー・メンデレーエフにちなんで「メンデレビウム」と命名されることになった。この発見は冷戦中に行われたため、シーボーグはこの元素をロシア人にちなんで命名することを提案するように米国政府の許可を求める必要があったが、許可された[3] rename。「メンデレビウム」という名称は1955年に記号"Mv"でIUPACにより承認され[8]、次のIUPACの総会(パリ、1957年)で"Md"に変更された[9]

特徴

物理的特性

fブロックランタノイドとアクチノイドのf電子をd亜殻に昇位するために必要なエネルギー。約210 kJ/molを超えるとこのエネルギーは高すぎて3価状態の結晶エネルギーが大きくなるため、アインスタイニウム、フェルミウム、メンデレビウムはランタノイドのユーロピウムイッテルビウムなどと同様に2価の金属を形成する(ノーベリウムも2価の金属を形成すると予想されているが未だ確認されていない)[10]

周期表において、メンデレビウムはアクチノイドのフェルミウムの右、アクチノイドのノーベリウムの左、ランタノイドのツリウムの下に位置する。メンデレビウム金属はまだバルク量精製されておらず、バルク量の精製は現在不可能である[11]。そうではあるが、その特性に関していくつかの予測といくつかの予備実験の結果が行われている[11]

ランタノイドとアクチノイドは金属状態では2価(ユーロピウムイッテルビウムなど)または3価(他のほとんどのランタノイド)の金属として存在することができる。前者はfnd1s2配置であり、後者はfn+1s2配置である。1975年にJohanssonとRosengrenは金属ランタノイドアクチノイド凝集エネルギー(結晶化のエンタルピー)の測定値と予測値を、ともに2価金属と3価金属として調べた[12][13]。結論は、メンデレビウムの[Rn]5f137s2配置よりも[Rn]5f126d17s2配置で結合エネルギーの増加分は、ずっと後半のアクチノイドにもあてはまるように1つの5f電子を6dに昇位させるのに必要なエネルギーを補償するには不十分であった。それゆえ、アインスタイニウムフェルミウム、メンデレビウム、ノーベリウムは2価の金属であると予想されていた[12]。アクチノイド系列が終わるずっと前に2価状態の優位性が増加しているのは、原子番号の増加と共に増加する5f電子の相対論的安定化に起因する[14]。1976年から1982年までZvaraとHübenerによる微量のメンデレビウムを用いた熱クロマトグラフィー研究により、この予測が確認された[11]。1990年、HaireとGibsonはメンデレビウム金属は134から142 kJ/molの間の昇華のエンタルピーを持っていると推定した[11]。2価メンデレビウム金属の金属半径は約194±10 pmでなければならない[11]。他の2価の後半のアクチノイドと同様に(再度3価のローレンシウムを除く)、金属メンデレビウムは面心立方結晶構造をとるはずである[15]。融点は827 °Cと推定されており、隣接する元素であるノーベリウムで予測されたものと同じ値である[16]。密度は約10.3±0.7 g/cm3であると予測されている[15]

化学的特性

メンデレビウムの化学的特性はほとんどが溶液中でのみ知られており、+3または+2の酸化数をとることができる。+1の状態も報告されているが、まだ確認されていない[17]

メンデレビウムが発見される前に、グレン・シーボーグとKatzはそれが主に水溶液中で3価であるべきであり、したがって他の3陽性のランタノイドとアクチノイドと同様に振る舞うべきであると予測した。1955年にメンデレビウムが合成された後、これらの予測が確認された。1955年にメンデレビウムが合成された後、これらの予測が確認された。最初は樹脂の陽イオン交換カラムからの3価アクチノイド溶出順序でフェルミウムの直後に読王出したことが発見され、後の1967年にはメンデレビウムが3価のランタノイド塩と共沈する不溶性の水酸化物及びフッ化物を形成する可能性があることが観察された[17]。陽イオン交換及び溶媒抽出の研究により、メンデレビウムがそれより前のアクチノイドであるフェルミウムよりもイオン半径がやや小さい3価のアクチノイドであるという結論にいたった[17]。メンデレビウムは1,2-シクロヘキサンジニトリロ四酢酸(DCTA)と配位錯体を形成することができる[17]

還元条件では、メンデレビウム(III)は、水溶液中で安定なメンデレビウム(II)に用意に還元される[17]E°(Md3+→Md2+)の標準還元電位は1967年に−0.10 V や −0.20 Vとさまざまに推定された[17]。2013年以降の実験では、値は−0.16±0.05 Vと確立された[18]。比較すると、E°(Md3+→Md0) は約−1.74 Vであり、E°(Md2+→Md0) は約−2.5 Vであるべきである[17]。メンデレビウム(II)の溶出挙動は、ストロンチウム(II)及びユウロピウム(II)の溶出挙動と比較されている[17]

1973年、メンデレビウム(I)はロシアの科学者たちによって、より高い酸化状態メンデレビウムをサマリウム(II)で還元することで得たと報告された。これは中性の水-エタノール溶液中で安定であり、セシウム(I)と同族であることがわかった。しかし、その後の実験ではメンデレビウム(I)の証拠は見つからず、メンデレビウムは還元されると一価のアルカリ金属ではなく二価の元素のように振る舞うことが分かった[17]。それにもかかわらず、ロシアのチームはメンデレビウムをアルカリ金属の塩化物と共結晶化する熱力学についてさらに研究を行い、メンデレビウム(I)が形成され、二価の元素と混合結晶を形成し、それらと共結晶化すると結論付けた。+1の酸化状態は未だ仮説である[17]

E°(Md4+→Md3+) は1975年に+5.4 Vと予測され、このことはメンデレビウム(III)がメンデレビウム(IV)に酸化される可能性があることを示唆しているが、強力な酸化剤であるビスマス酸ナトリウムを使用した1967年の実験ではメンデレビウム(III)をメンデレビウム(IV)に酸化することができなかった[17]

原子的性質

メンデレビウム原子には101個の電子があり、そのうち少なくとも3個(そしておそらく4個)が価電子として機能する。これは電子配置[Rn]5f137s2(基底状態の項記号2F7/2)と予想されるが、この電子配置の実験的検証は2006年の時点ではまだ行われていない[19]。化合物を形成する際に、3個の価電子が失われ、[Rn]5f12コアが残る場合があるが、これは+3状態の[Rn] 5fn電子配置を持つ他のアクチノイドにより定められた傾向に一致する。メンデレビウムの最初のイオン化ポテンシャルは、7s電子が5f電子より前にイオン化するという仮定に基づいて、1974年に最大(6.58 ± 0.07) eVであると測定された[20]。この値は、その後メンデレビウムの希少性と高い放射性のために、さらなる精度の向上はない[21]六配位のMd3+のイオン半径は、1978年に事前に約91.2 pmと推定されていた[17]分配係数とイオン半径の間の対数傾向に基づく1988年の計算により、−3654±12 kJ/molの水和エンタルピーとともに、89.6pmというイオン半径が算出された[17]。Md2+のイオン半径は115 pm、水和エンタルピーが−1413 kJ/molである必要があり、Md+のイオン半径は117 pmである必要がある[17]

同位体

メンデレビウムの同位体は、質量数が244から260まで17個知られており、全てが放射性である[22]。さらに、5つの核異性体245mMd, 247mMd, 249mMd, 254mMd, および258mMdが知られている[1][23]。これらのうち、半減期が最長の同位体は258Mdで、51.5日であり、半減期が最長の異性体は258mMdで58.0分である[1][23]。それにもかかわらず、半減期の短い256Md(1.17時間)は、アインスタイニウムのアルファ粒子照射から大量に生成できるため、化学実験でより頻繁に使用される[22]258Mdの次に安定したメンデレビウムの同位体は、半減期が31.8日の260Md、5.52時間の257Md、1.60時間の259、1.17時間の256Mdである。残りのメンデレビウムの同位体はすべて半減期が1時間未満であり、大部分は5分未満である[1][22][23]

メンデレビウムの同位体の半減期は、ほとんどが244Md以降滑らかに増加し、258Mdで最大となる[1][22][23]。実験と予測によると、半減期は半減期が31.8日の260Md以降は減少する[1][22][23]。これは、アクチノイド系列において長寿命原子核の相対的安定の島に限界をもたらす陽子の相互反発が理由で、自発核分裂が支配的な崩壊モードになるためである[1][24]

化学的に重要なメンデレビウムの同位体であるメンデレビウム256は、電子捕獲により90%の確率で崩壊し、10%の確率でアルファ崩壊する[22]。これは電子捕獲娘のフェルミウム256自発核分裂によって最も簡単に検出されるが、自発核分裂を起こす他の核種の存在下ではメンデレビウム256の特徴的なエネルギー(7.205及び7.139 MeV)でのアルファ崩壊は、より有用な識別情報を提供しうる[25]

生産・分離

最も軽いメンデレビウムの同位体(244Mdから247Md)は、主にビスマスのターゲットに重いアルゴンイオンを衝突させることにより生成されるが、わずかに重い同位体(248Mdから253Md)はプルトニウムアメリシウムのターゲットに軽い炭素窒素のイオンを衝突させることにより生成される。最も重要で最も安定した同位体は254Mdから258Mdの範囲であり、アルファ粒子アインスタイニウムの導体に衝突させることで生成される(アインスタイニウム253, 254, 255の全てが使用できる)。259Mdは259Noの娘として生成され、260Mdはアインスタイニウム254と酸素18の間の移動反応で生成される[22]。通常、最も一般的に使用される同位体256Mdはアインスタイニウム253, 254のいずれかにアルファ粒子を照射することにより生成される。アインスタイニウム254は半減期が長く、ターゲットとしてより長い間使用できるため、入手可能である場合好まれる[22]。利用可能なマイクログラム量のアインスタイニウムを使用することで、フェムトグラム量のメンデレビウム256を生成することができる[22]

生成されたメンデレビウム256の反跳運動量は、それらが生成された元のアインスタイニウムのターゲットから物理的に遠く離し、真空中でターゲットのちょうど後ろの金属の薄い箔(通常、ベリリウムアルミニウム白金、または)の上に付くのに使われる[25]。これにより、費用がかかり高価なアインスタイニウムのターゲットの再利用を妨げる即時の化学的分離の必要性がなくなる[25]。次に、メンデレビウムの原子は気体雰囲気(多くの場合ヘリウム)に閉じ込められ、反応室の小さな開口部からの気体ジェットがメンデレビウムを運ぶ[25]。長い毛細管を使用し、ヘリウムガスに塩化カリウムエアロゾルを含めることで、メンデレビウム原子を数十メートル以上輸送して化学的に分析し、その量を決定することができる[5][25]。次に、箔に酸を適用し、メンデレビウムをフッ化ランタン共沈させ、塩酸で飽和させた10%エタノール溶液を含む陽イオン交換樹脂カラムを使用し溶離剤として働かせることで、箔材料及び他の核分裂生成物からメンデレビウムを分離することができる。ただし、箔が金でできており十分に薄い場合は、陰イオン交換クロマトグラフィーを使用して金から3価のアクチノイドを分離する(溶離液はM塩酸である)前に、王水に金を溶かすだけで十分である[25]

メンデレビウムは最終的に陽イオン交換樹脂カラムからの選択的溶出(溶離液はアンモニアα-HIB)を利用することで、他の3価のアクチノイドから分離できる[25]。気体ジェット法を使用すると、最初の2つのステップが不要になることがしばしばある[25]。上記の手順では超アインスタイニウム元素の分離に最も一般的に使用される手順である[25]

3価のアクチノイドを分離する別の可能な方法は、固定有機相としてビス-(2-エチルヘキシル)リン酸(HDEHPと略す)及び移動水相として硝酸を使用するという溶媒抽出クロマトグラフィーによるものである。アクチノイドの溶出の順序は陽イオン交換樹脂カラムにおいてとは逆になっているため、重いアクチノイドは後で溶出する。この方法で分離されたメンデレビウムには樹脂カラムと比較して有機錯化剤が含まれていないという利点がある。不利な点は、メンデレビウムがフェルミウムの後、溶出の順番の非常に遅い段階で溶出することである[5][25]

メンデレビウムを分離するもう1つの方法は、Es3+及びFm3+の溶出特性とは異なるMd2+の溶出特性を利用する。最初の段階は、上記と同じで、抽出クロマトグラフィーにHDEHPを使用するが、メンデレビウムをフッ化ランタンではなくフッ化テルビウムと共沈させる。次に、50 mgのクロムをメンデレビウムに加え、亜鉛または水銀を含む0.1M塩酸中で+2状態に還元する[25]。次に、溶媒抽出が進み、3価および4価のランタノイドとアクチノイドがカラムに残るがメンデレビウム(II)は塩酸中に留まらない。次に、過酸化水素を使用して+3状態に再び酸化し、2M塩酸(クロム含む不純物を除去するため)、最終的には6M塩酸(メンデレビウムを除去するため)による選択的溶出で分離する[25]。また、1M塩酸を溶離液として使用し、Md(III)をMd(II)に還元しアルカリ土類金属のように振る舞う、カチオナイトと亜鉛アマルガムのカラムを使用することもできる[25]。サーモクロマトグラフィーによる化学的分離は、揮発性メンデレビウムヘキサフルオロアセチルアセトナートを使用することで達成できる。類似のフェルミウム化合物も知られており、揮発性である[25]

毒性

メンデレビウムと接触する人はほとんどいないが、国際放射線防護委員会は最も安定した同位体の年間曝露限界を設定している。メンデレビウム258の場合、摂取限界は9×105Bq(ベクレル、1ベクレルは1秒当たり1回の崩壊に相当)であり、吸入限界は6000Bqに設定されている[26]

出典

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  24. Nurmia, Matti (2003). “Nobelium”. Chemical and Engineering News 81 (36): 178. doi:10.1021/cen-v081n036.p178. http://pubs.acs.org/cen/80th/nobelium.html.
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  26. Koch, Lothar (2000). “Transuranium Elements”. Transuranium Elements, in Ullmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry. Wiley. doi:10.1002/14356007.a27_167. ISBN 978-3527306732

書誌情報

関連文献

  • Hoffman, D.C., Ghiorso, A., Seaborg, G. T. The transuranium people: the inside story, (2000), 201–229
  • Morss, L. R., Edelstein, N. M., Fuger, J., The chemistry of the actinide and transactinide element, 3, (2006), 1630–1636
  • A Guide to the Elements – Revised Edition, Albert Stwertka, (Oxford University Press; 1998) 0-19-508083-1

外部リンク

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