マイクロ波化学

マイクロ波化学(まいくろはかがく、: microwave chemistry)とは、主として物質合成に、マイクロ波を利用する化学の一分野である。

マイクロ波は、電子レンジなどで利用されているように、物質の加熱を行うことができる。特に、その加熱様式は、従来のガスバーナーオイルバスなどを用いた対流加熱と異なり、マイクロ波に対して応答する物質のみを選択的に誘電加熱することができるため、様々な応用を可能とする[1]

鈴木・宮浦カップリング反応など多くの有機合成反応について、マイクロ波を用いる事で、触媒量の大幅な削減(マクロ量を検出限界量まで減らしても問題ない)や、反応時間の大幅な短縮(数日を要した反応が数分程度で済むなど、フラッシュケミストリー)、収率の大幅な向上(60%程度だった収率を99%程度まで上げるなど)など、非常に多くの有意な報告がある[2][3]

同じ薬品を合成するにしても、マイクロ波を用いれば、合成に掛かる費用は大幅に縮減可能であり、実際、多くの製薬会社や化粧品会社では、これを利用して大幅なコストダウンに成功している。

マイクロ波化学では、内部温度のモニター及び攪拌が重要である旨が指摘されている[4]

脚注

  1. Gabriel, Camelia; Gabriel, Sami; Grant, Edward H.; Grant, Edward H.; Halstead, Ben S. J.; Mingos, D. Michael P. (1998-01-01). “Dielectric parameters relevant to microwave dielectric heating” (英語). Chemical Society Reviews 27 (3): 213–224. doi:10.1039/A827213Z. ISSN 1460-4744. https://pubs.rsc.org/en/content/articlelanding/1998/cs/a827213z.
  2. Microwave Enhanced Synthesis”. 2020年4月28日閲覧。
  3. Sharma, Nandini; Sharma, Upendra K.; Eycken, Erik V. Van der (2018) (英語). Green Techniques for Organic Synthesis and Medicinal Chemistry. John Wiley & Sons, Ltd. pp. 441–468. doi:10.1002/9781119288152.ch17. ISBN 978-1-119-28815-2. https://onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1002/9781119288152.ch17
  4. Herrero, M. Antonia; Kremsner, Jennifer M.; Kappe, C. Oliver (2008-01-04). “Nonthermal microwave effects revisited: on the importance of internal temperature monitoring and agitation in microwave chemistry”. The Journal of Organic Chemistry 73 (1): 36–47. doi:10.1021/jo7022697. ISSN 0022-3263. PMID 18062704. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/18062704.

関連項目

外部リンク

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