フラッシュバルブ (栓)

フラッシュバルブ(英:Flush valve)は、などの流体における圧力・流量の出力を制御するバルブの一つで、バルブ操作後、一定量、一定時間(約10秒)水が流れて自動的に止まる機能を持つ自閉式のバルブで、主に水洗便器に洗浄水を供給する機器として使用される。このためにフラッシュバルブの末端は給水洗浄管を介して水洗便器に繋がっている。

 
フラッシュバルブ給水の和風便器

主な用途

手動フラッシュバルブ

水洗式便所での便器への給水方式の1つで、フラッシュバルブは洗浄給水管を介して水洗便器に繋げられて、便器に供給する洗浄水の水圧力や流量などの流水(水流)の出力を制御するバルブとして使用される。

高水圧の水道管に直接取り付けられたバルブであり、タンクが不要のため、省スペースでの設置が可能、瞬間的に高水圧(強い水勢)水を吐出して便器洗浄が出来ることから便器の詰まりや汚物付着や尿素からの黄ばみ尿石の付着も少なく、連続使用が可能という利点があるため、デパートホテルオフィスビル複合商業施設劇場などの商業施設工場、複合ビル、あるいは学校病院役所など不特定多数の人が利用する非住宅の水洗便所で多用されている。

しかし25A以上の給水管径が必要で、使用水量は約2.5L/sと大水量であり、給水圧力が0.07MPaより低いと正常に作動しないため、住宅での採用は少ない。多くは、屋上などに受水槽からの高置水槽を設置し給水管径と水圧を確保できる集合住宅社宅官舎鉄筋コンクリート造店舗兼住宅に採用される。例外的に給水管・給水圧力が確保された一部の戸建住宅に採用されることがある。また、25A以上の給水管を要しない完全な水洗式の小便器簡易水洗便器小便器を含む)の場合は、住宅であってもフラッシュバルブを用いることがある。

また給水圧力が0.07MPaを満たさない場合でもブースターポンプ(直結増圧式給水装置)を設置することでトイレの洗浄をフラッシュバルブ給水化されることもある。

構造と作動原理

節水型フラッシュバルブの断面構造

構造

一般的な手動フラッシュバルブの場合、給水側から順に止水栓・開閉弁部(ストップバルブ)、本体部、バキュームブレーカ部の順で構成されており、便器への給水圧は開閉弁のスピンドルで調整する。本体部にはフラッシュバルブの心臓部であるピストンバルブが内蔵されており、フラッシュバルブを起動させるレバーペダル棒や押しボタンなどの起動弁部が本体側面部に組み込まれており、その起動弁内部にピストンバルブを起動させるバネ圧の押し棒部が内蔵されている。本体上部には流量調整ネジが付いており、ピストンバルブの昇降ストローク量により流量が変動し、ネジを開けると吐水量が増え、ネジを閉め込むと吐水量が減る仕組みになっている。


フラッシュバルブの流水を制御する心臓部の部品であるピストンバルブ 写真は(大便器用 )左が節水型フラッシュバルブのピストンバルブ右が普通型フラッシュバルブ用でとは形状、構造が異なる

本体に組み込まれているピストンバルブはバルブ上部外周にわん皮パッキンまたはUパッキンが巻かれ、側面中央部にストレーナーフィルター)の濾し網があり、下部には案内羽根が付いており、その案内羽根内径中心部にリリーフバルブ先端の起動羽根が突出している。ピストンバルブ上部の中心部には逃し弁の穴が開いており、その中にはリリーフバルブと押えバネが仕込まれている。一次側(給水口側)と二次側(便器に繋がった洗浄管側)とはわん皮パッキン(Uパッキン)で仕切られ、パッキン上部が圧力室部であり、ピストンバルブ上部の圧力室側になる一次側と二次側の間には針先程の小穴が開いておりストレーナーを経て繋がっている。この小穴によって圧力室に水を送り、フラッシュバルブの閉止動作を行う部位でもあるため、ストレーナーは小穴が詰まらないよう細かい濾し網になっており水中の不純物除去の濾過部位となっている。ピストンバルブの弁座部にはシートパッキンと呼ばれる中央部に濾し網によるストレーナーが付いたパッキンが組み込まれている。ピストンバルブのUパッキンはバルブの溝に材質の合成ゴムの弾力ではめて締め付けられているのに対し、わん皮パッキンは皮革パッキンをパッキン押え部位にて固定されている。

また本体に組み込まれている起動レバーハンドル内の起動弁の押し棒部の先端とピストンバルブの起動羽根の間は1㎜程の隙間が空いており、起動時には押し棒が約10㎜(1㎝)突出して(最大12㎜)ピストンバルブの起動羽根に接触して約10㎜程押し込まれる。起動押し棒には押し棒部本体と押し棒の軸と軸受け部の金属同士の摺動箇所摩擦部には押し棒の平滑性とスライドを円滑にするために潤滑剤としてグリスが塗布されている。

フラッシュバルブのバキュームブレーカ部

バキュームブレーカ内には吸気弁と給水塞止弁(逆止弁)が内蔵され、てこの原理を応用した構造になって、ネジで止められた支点軸棒を境に片側に吸気弁が、もう一方の片側に給水塞止弁が内蔵されている。吸気弁側の方が重くできており、吐水中以外の待機中は自重で吸気弁側が開放された状態で下降位置にあり、一方、支点の反対側の給水塞止弁は上昇位置でバキュームブレーカ以前の管路を閉塞した状態が待機中の定位置となっている。吐水中は動水圧によって給水塞止弁に水が接触して押し込まれる一方片側の吸気弁が上昇して吸気口を閉鎖する。吐水が終了すると共に給水塞止弁に掛かる動水圧が無くなることから、吸気弁は自重で降下すると共に給水塞止弁は定位置まで上昇してピストンバルブ以前の管路を閉塞する。

作動原理

フラッシュバルブ閉止(動作開始前)(ピストンバルブ下降閉止時)の待機状態
フラッシュバルブ起動後・全開ピーク時(ピストンバルブ最上昇時)の流水状態
フラッシュバルブ閉止直前時(ピストンバルブ降下時)の流水状態
フラッシュバルブ閉止(動作終了)(ピストンバルブ完全下降閉止時)の待機状態に戻り便器の残水穴からフラッシュバルブの残水を排出している状態

閉止時(待機時)においては、圧力室の水圧でピストンバルブが押し下げられ、バルブの下方に取り付けられたシートパッキンとシーリングされて弁を閉じている。レバーペダル棒や押しボタンなどの起動弁を操作すると、バネ圧の起動用の押し棒が突出することにより、ピストンバルブの起動羽根に接触して押しこまれ、起動羽根先端のリリーフバルブの逃し弁が開き、ピストンバルブ上部の圧力室部に溜まった高水圧の水がピストンバルブ内の軸部の案内羽根内径中心部にある管路を経由して二次側(便器への給水洗浄管)に流れ抜ける。圧力室の圧力がゼロになることから、給水圧力によりピストンバルブが押し上げられ瞬時に上昇し案内羽根部を介して吐水(便器への給水)が始まる。

吐水開始と同時にバキュームブレーカ内の給水塞止弁が動水圧(吐水された水の接触)により押し込まれ下降するとともに、支点の反対側の吸気弁のゴムパッキンが押し上げられて上昇して吸気口が閉塞される。レバーペダル棒や押しボタンなどの操作部から手を放すと突出していた起動押し棒がバネ圧により戻り、ピストンバルブの起動羽根もバネ圧で定位に戻ることから起動羽根先端のリリーフバルブの逃し弁もバネ圧により閉塞され、瞬時にピストンバルブは圧力室上壁部まで上昇到達し便器への吐水は全開状態になり吐水のピークとなる。同時にピストンバルブのストレーナーフィルター)の濾し網から小穴を経て圧力室に水が徐々に入る。圧力室部に水が入るにつれてと水圧によりピストンバルブが徐々に押し下げられて便器への吐水も徐々に弱まり、圧力室の水が満水になるとピストンバルブが完全に下降し、弁座部のシートパッキン部に着地することで、自動的に水が止まり吐水が終了する。

吐水終了と同時にバキュームブレーカ内の給水塞止弁への動水圧が無くなることから、給水塞止弁は定位置まで上昇してピストンバルブ以前の管路を閉塞すると共にウエイト水として、ごく少量の水が給水塞止弁上部に残留し、同時に吸気弁は下降して開放されて吸気されることにより、フラッシュバルブから便器に至る洗浄給水管内および便器内の管路の残水は、バキュームブレーカからの吸気音を伴いながら便器の吐水口から排出される。また床下給水和風便器のような残水穴がある便器ではフラッシュバルブから便器への管路内及び便器の管路内の残水が残水穴から排出される。吸気により給水管内の残圧が破壊されて大気圧状態に戻り、フラッシュバルブの1サイクルの動作が終了する。

このことからフラッシュバルブ起動開始時にはピストンバルブの起動羽根が刺激されるとリリーフ弁が開き、ピストンバルブのストレーナーの濾し網から小穴を経て圧力室に溜まっていた水がピストンバルブ内部リリーフ弁から起動羽根部のピストンバルブ内径中心部を経て抜けた水とバキュームブレーカ内の給水塞止弁に溜まっていたウエイト水が捨水となり便器に抜けて排出された直後、瞬時にピストンバルブ上昇によりピストンバルブ下部の案内羽根を伝って吐水(便器への給水)が始まり、同時にストレーナーの濾し網から小穴を経て圧力室に徐々に水が溜まると共に徐々にピストンバルブ下降して、やがて吐水が終わる水の流れが毎回繰り返される。

1回操作する度に内部のピストンバルブが上下に1往復のピストン運動をすることにより1回分の洗浄水を吐水する。

また、フラッシュバルブは瞬間的に高水圧で便器に吐水することからも独特な洗浄流水音が特徴である。さらにタンク式洗浄でみられる便器の水封の水溜り部、封水トラップの隅部や底面に発生する汚物の付着や黄ばみ付着は殆ど発生しない。

節水式フラッシュバルブ

節水式のフラッシュバルブはピストンバルブはストレーナーフィルター)の濾し網部がピストンバルブ全周に巻かれて水の流入を容易にする一方で、起動羽根がスライド伸縮式の二重構造になっており、一度の操作で1回分の吐水しかしないノンホールディング機能を持ち、起動後のピストンバルブ上昇時スライド伸縮式起動羽根は起動押し棒部より高い位置まで上昇するためレバーペダル棒や押しボタンなどの起動弁を押し続けても二重になった起動羽根が押し棒部上面に乗り上げるのでピストンバルブが上昇位置のままで保持されずピーク時の持続(全開状態のまま)になるのを妨げ、下降閉止動作をする機能を持ち、さらに、圧力室に水を流入させる小穴も通常のストレーナーフィルター)からの小穴の他にリリーフバルブ部上面にも存在する伸縮式の羽根の付いたバルブからによる二重流入構造になっており、フラッシュバルブ流水ピーク時に至るまでは通常の小穴以外のピストンバルブ部上面に存在する伸縮式の羽根の付いたバルブの小穴部からも圧力室部に水が流入させる機能を併せ持っており、フラッシュバルブ起動開始直後からは伸縮式の羽根の付いたバルブの弁上部の羽根が飛び出た状態になり圧力室に水が流入し、フラッシュバルブのピーク時にピストンバルブが最上昇点に至るとピストンバルブ部上面の伸縮式の羽根の付いたバルブの羽根部は圧力室の上壁面に接触して押し込まれ閉鎖される、以後は圧力室に溜まっていく水の水圧により羽根が飛び出ることなく、通常の小穴のみから圧力室部に水が流入し、ピストンバルブの下降動作が始まり、ピーク時の全開状態の時間を短くして吐水を節水制御する機能になっている。また一度の操作で1回分の吐水しかしないため起動弁ペダルを操作し続けても1回分の洗浄で止水することで大幅な節水となる。

電装式フラッシュバルブ

電装式フラッシュバルブ(自動フラッシュバルブ)はフラッシュバルブ本体に人感センサやスイッチが組み込まれたオールインワン式と、人感センサーやスイッチを離れた場所に設置して信号線を介して自動フラッシュバルブと配線接続して起動させるコンビネーション式がある。 作動方式は、押し棒駆動式とドレン管式があり、押し棒駆動式は手動フラッシュバルブをモーターによるギアカムの駆動でレバーハンドル起動弁を押し下げてて作動させ起動する方式と、起動押し棒を電磁弁(ソレノイド)駆動で突出させてピストンバルブの起動羽根が押されリリーフバルブ逃し弁が開いてピストンバルブ上昇により吐水が開始されるで手動フラッシュバルブのメカニズムを電動で作動させる方式。

ドレン管が露出した自動フラッシュバルブ
ドレン管が本体に内蔵された自動フラッシュバルブ

ドレン管式は一次側(圧力室)と二次側(便器給水管側)の間に電磁弁を介したドレン管によるバイパス管路が組み込まれ、センサーやスイッチでの起動信号が入ると、電磁弁が開き一次側の圧力室部に溜まった高水圧の水が電磁弁の作動によりドレン管(バイパス管部)を介して二次側(便器への給水管)に排水させることで、圧力室の圧力をゼロにさせピストンバルブを上昇作動させることでフラッシュバルブを起動させる方式となっている。一方で閉止動作はピストンバルブの濾し網によるストレーナーから小穴を経て圧力室への水の流入によるピストンバルブ降下動作による手動フラッシュバルブと同様の原理で止水する。

ドレン管式は、逃がし弁による排水動作は必要なく起動羽根やリリーフバルブを介せずピストンバルブの作動を起動させるためにリリーフバルブ部や起動羽根部、押し棒等可動部の故障が少ないメリットがあることから電装式フラッシュバルブの主流となっている。ドレン管式にはドレン管が露出している機種と自動フラッシュバルブの本体ケース内に内蔵されている機種が存在する。

手動フラッシュバルブを自動フラッシュバルブに換装した例

手動フラッシュバルブの場合、不特定多数の各々の利用者によって起動レバー弁の操作力や操作時間、手での操作や足での操作等の操法や扱い方が各自異なり、様々で雑多な操作をされるためにピストンバルブの昇降動作も一定しないために便器に吐水する流水の出力や流量にばらつきがでるが、電装式の自動フラッシュバルブでは、手かざしセンサーや薄型のタッチスイッチにより電気信号で起動するために、ピストンバルブの昇降動作は一定で誰が操作しても出力や洗浄水量がばらつくこともなく常に安定した洗浄水を便器に供給する。

また、電装式フラッシュバルブは何れの方式も側面には停電や電池切れの時用に手動ボタン弁が付いており、手動ボタン弁で操作した場合は起動押し棒が起動羽根に接触してリリーフバルブ逃がし弁開閉によるによる手動フラッシュバルブと同じ原理で作動する。

電装式フラッシュバルブの電源はAC100V(一部AC200Vのものも存在)の他に乾電池式がある他、最近では自動フラッシュバルブ内に発電用水車が内蔵され、水勢を利用して水力発電をして自らの制御電力に使用する機種が主流になりつつある。

手動フラッシュバルブ

手動フラッシュバルブ洗浄の大小両用和式便器

手動フラッシュバルブの場合、レバーペダル棒や押しボタンなどの起動弁の操作を一瞬で終えてしまうと、リリーフバルブから圧力室の水が完全に抜けきらないことにより、ピストンバルブが最上昇点まで上昇到達しないまま下降したり上昇途中で下降してしまう動作をしてしまい、この場合便器に吐水される水は少量の水が出てすぐに閉止して止水してしまう動作をするために流水量不足により汚物の洗浄に支障をきたす他、このようなピストンバルブの吐水動作が不完全な場合バキュームブレーカにおいてもバキュームブレーカ内の給水塞止弁に加圧される水圧も少量かつ低く不安定になり吸気弁から吸気時に発生する弁の鼓動による振動が給水塞止弁に伝わり給水塞止弁に接触しながら流れる便器への流水にも伝わり、便器の吐水口から排出される水の出方も吸気弁の吸気鼓動音と同調しながら震えるような流れ方で排出される動作を起こし洗浄不良となる場合がある。 また逆に起動弁を押しっぱなしにすると起動押し棒が出たままになることから洗浄水は押し棒に接触した状態で流れることになり、押し棒本体とスライド部の軸と軸受け部の摺動箇所に潤滑剤として塗布されているグリス油脂成分が便器から出てきて洗浄終了後の便器の表面や溜水面に油膜が張る場合がある。 このために手動フラッシュバルブの起動弁は便器への吐水が開始され流水が安定するまでの間(約1.5~3秒間)確実に(洗浄ペダルや押しボタンを押し切る(起動押し棒を約10㎜押し出してピストンバルブの起動羽根に接触して押し込む))操作することが必要である。

住宅に設置された手動フラッシュバルブ洗浄の大小両用和式便器(バキュームブレーカ無しのフラッシュバルブ)

ただし、大便器用フラッシュバルブは住宅での採用は少ないものの集合住宅や一部の戸建住宅でフラッシュバルブ給水で施工されている場合もあり、大便器用手動フラッシュバルブは基本的に大洗浄吐水するために洗い出し式の和式便器や大小両用和式便器では小洗浄時には和式便器の金隠し前方、あるいは和式便器の横壁に設置されているフラッシュバルブの起動弁の手動操作をわざと極短時間のみかつ完全に押し切らない力加減の操作(起動押し棒及びピストンバルブの起動羽根の押し込み量を数㎜程度僅かに接触させて押す操方)でありながら起動を開始させる巧みな操法にて(ピストンバルブが最上昇点まで上昇到達しないまま下降したり上昇途中で下降してしまう動作を利用して)トラップ(便器内の封水)に尿水とトイレットペーパーが、残留しない程度に便器へ排出される吐水量をタンク式の小洗浄と同程度に減らして節水させようとする場合もある。大洗浄の場合は起動弁の操作を完全に押し切って(起動押し棒を約10㎜突出してピストンバルブの起動羽根に接触させて完全に押し込み)通常の洗浄を行う。ただし高水圧、大水量を必要とするブローアウト式やサイホン式、サイホンゼット式便器の場合この手法は使えない。

またフラッシュバルブの吐水終了間際に起動弁を再び操作した場合、圧力室内に流入する水により止水に至ろうとする降下途上のピストンバルブの動作中に再操作でピストンバルブの起動羽根が押され再びリリーフバルブが開かれると(ピストンバルブ下降着地直前に起動押し棒が出て起動羽根に接触してリリーフ弁が開かれると)、再操作のタイミング次第で圧力室の水圧の増減とピストンバルブの動作に支障が発生し、タイミングにより降下途上のピストンバルブが再上昇して最上昇部まで到達し、再びフラッシュバルブのピーク吐水に達し一連の動作の末に止水に至る。もう一度通常の吐水が繰り返される場合と、降下途上のピストンバルブが一瞬のみ上昇するも圧力室の水圧により即降下して閉止してしまう動作をする場合があり、この場合、便器の流水は止水直前の流水状態から再操作後一瞬のみ高圧な水が再吐出した直後に即 吐水が急閉止される現象となる等、ピストンバルブの降下途上の閉止直前の再操作はピストンバルブの動作が不安定になり異動作になる等の支障をきたすことがあることから、再洗浄する場合は一度吐水が終了した後に改めて起動弁を操作することがメーカーでも推奨されている。

近年では、手動フラッシュバルブであったトイレにおいても衛生面や節水面の他、操作レバーペダルを足で踏まれて操作されることが多く、故障や汚損の原因になったり、操作時間不足での洗浄不良等があるため、後付けの自動フラッシュバルブに換装される場合が多く、特に新設されるトイレにおいては手動フラッシュバルブの採用は減っている。

翼車回転式フラッシュバルブ

翼車式フラッシュバルブ

その他に最近ではピストンバルブを使用しない羽根車式の翼車式フラッシュバルブもあり、構造は機器内部に電磁弁と回転式の翼車羽根車)と水量カウントセンサーが内蔵されており、洗浄スイッチセンサーから信号が送信されると電磁弁が開き通水が開始され、内部のカウンターが付いた翼車が水の勢いで高速回転し、翼車の回転数を水量カウントセンサーが読み取り、設定した水量カウント数(大用、小用)を読み取ると給水停止信号を送信し電磁弁が閉まり止水する。

このためにピストンバルブ式のフラッシュバルブのように流水ピークから徐々に流水が弱まる仕組みではなく、終始常時流水のピークの流水が便器に供給される。

また翼車回転式フラッシュバルブでは各便器の利用人数や各便器に流した積算水量、及び利用者1人当たりの洗浄操作回数もデーターによる検証も可能なシステムで、利用者の滞在時間や利用頻度で大用、小用の流水量の流し分け機能、設備保護洗浄機能や擬音装置の他、長時間滞在警報、機器異常警報を監視室などに異常信号を発報する機能と、利用者が入室した直後の機器操作説明音声ガイダンス機能を併せもっている。

操作方法

手動フラッシュバルブ

従来のレバーペダル手動フラッシュバルブ給水の床上給水和風便器

従来からの一般的にレバーペダル棒や押しボタンの起動弁を手動で操作して起動させる方法がであるが、周流のレバーペダル棒式では操作の際、レバーペダルを足で踏まれて操作されることが多く、足での操作は「蹴る」動作にもつながり、手でよりは格段の応力がかかり器具の傷みを早めて漏水などの故障や内部のピストンバルブの破損や故障にもつながる。床の水分や漏水で汚損や器具の錆びによる緑青により汚損がひどくなり、不潔なイメージから余計に足で操作される原因になるために、足で操作されないように、フラッシュバルブを壁の高い位置に配して、便器とは配管で結ぶという施工が採用される場合がある。また施工が容易な床上給水和風便器の場合、便器の前部に直接フラッシュバルブが取付けられるために、不潔な印象のあるフラッシュバルブを避けて排泄位置が後部にずれることから便器後部のリム部に汚物が付着することがあり、フラッシュバルブ給水の和風便器での公共のトイレではフラッシュバルブを便器の横壁や前壁あるいは離れた場所に設置できる床下給水和風便器で施工される場合が多い。

手動フラッシュバルブの場合、レバーペダル棒や押しボタンなどの起動弁の操作を一瞬で終えてしまうと、リリーフバルブから圧力室の水が完全に抜けきらないことにより、ピストンバルブが最上昇点まで上昇到達しないまま下降したり上昇途中で下降してしまう動作をしてしまい、この場合便器に吐水される水は少量の水が出てすぐに閉止して止水してしまう動作をするために特に大洗浄の場合流水量不足により汚物の洗浄に支障をきたすために起動弁は便器への吐水が開始され流水が安定するまでの間(約1.5~3秒間)操作することが必要である。


近年では、手動フラッシュバルブであったトイレにおいても衛生面や節水面で、後付けの自動フラッシュバルブに換装される場合が多く、特に新設されるトイレにおいては手動フラッシュバルブの採用は減っている。

リモコンフラッシュバルブ

リモコンフラッシュバルブ給水のトイレ(起動弁が水圧ピストンのために導管になっている)
リモコンフラッシュバルブの足踏み操作弁(便器横の部分)

便器から離れた場所や壁内にフラッシュバルブを設置し、便器付近の壁に押しボタン弁や床に足踏み弁を設け、この弁からリモコン用の導管となる配管を介して水圧によりフラッシュバルブの水圧ピストンを遠隔操作で起動押し棒を出してピストンバルブの起動羽根に接触して押し込みリリーフバルブを開かせて起動させるリモコン型フラッシュバルブがある。

起動は水圧ピストンによりピストンバルブのリリーフバルブを押す以外は手動フラッシュバルブと同じ起動方法であり、手動フラッシュバルブ同様に足踏み弁や押し釦弁等の起動弁は便器への吐水が開始され流水が安定するまでの間(約1.5~3秒間)操作することが必要である。

リモコンフラッシュバルブの起動水圧ピストン部(水圧式の起動押し棒部)には逃がし用の小さな穴が開いており、その小穴の手前の導管先端には濾し網によるストレーナーが組込まれており押し釦弁や足踏み弁を操作による起動時の導管からの水圧でピストンバルブのリリーフバルブ押し込み時には逃がし穴から導管の一部の水が水圧ピストンの押し棒の小穴から便器洗浄管を経て便器に流れ込む。

このリモコンフラッシュバルブは壁に設置された押しボタン弁や床に埋め込まれた足踏み弁とフラッシュバルブを結び、起動させる水圧導管となる配管はφ9.5銅管を壁内や便器廻りの床下に複雑に配管しなけれなならず、さらに足踏み弁の場合は給水導管に直角に水抜きのドレンを設けて排水が必須でドレン排水管も配管施工が必要で別途ドレン排水の管路を設ける面倒な施工方法を強いられる。 (ドレン排水を便器直後の排水管に接続する場合もある)

このことから最近ではフラッシュバルブを遠隔操作する場合リモコンフラッシュバルブの施工物件は少なくなり、電気配線のみで簡単に施工できる後述の電装式フラッシュバルブにて施工される事例が多くなっている。

電装式フラッシュバルブ

赤外線人感センサによる自動洗浄、大小流し分け、設備保護機能を搭載したフラッシュバルブに制御される床上給水和風便器
電装フラッシュバルブ本体(コンビネーションタイプ)
電装フラッシュバルブ(コンビネーションタイプ)の手かざし起動センサースイッチ部
尿石防止の薬剤供給装置が連結された自動フラッシュバルブ内蔵新型小便器

近年では人感センサで人体を感知して使用後に自動で起動する「自動フラッシュバルブ」や、「手かざしセンサー」や薄型のタッチスイッチにより電気信号で電磁弁を作動させ起動する電装式のフラッシュバルブが主流になって衛生面や節水面、さらに足での操作防止による故障防止から採用が増えている。

赤外線人感センサの自動フラッシュバルブや電磁スイッチタイプの電装式のフラッシュバルブには、便器の使用時間や使用頻度を感知し自動的に大洗浄、小洗浄の流し分け判定機能が搭載され規定時間以内(機器内部のスイッチで120秒か150秒設定可能)では小洗浄で洗浄起動し小洗浄が数回繰り返された場合便器内と排水管の詰まり防止保護も兼ねて自動的に大洗浄で起動されるなど起動毎に適量の洗浄水を吐水し便器に供給する。また電装式フラッシュバルブは一度洗浄をすると次回の洗浄まで数秒間(機器内部のスイッチで各々秒数設定可能)は起動しない仕組みになっており排泄音の音消しの連続洗浄を防止もするので大幅な節水が可能となっている。

自動フラッシュバルブや電磁スイッチタイプの電装式のフラッシュバルブには設備保護洗浄機能が搭載されており、長時間使用(便器への通水)がない場合、便器排水トラップ内の封水が蒸発により内部の水が減少、乾きからの破封を防止するための設備保護タイマーにより、最後の洗浄から(大便器用では最後の大洗浄から)24時間周期で自動的に1回分の洗浄を行う機能を搭載し、さらに大便器用では、小洗浄が連続した場合、排水管つまり防止のため、小洗浄判定時間内であっても使用状況に応じて自動的に大洗浄を行う機能も搭載している。

電装式の自動フラッシュバルブには便器の機種や設置状況にあわせて水量切り替えや大小流し分け機能有りと大洗浄のみの切り替え設定、手かざしセンサー感知の起動時間切り替え設定、人感センサセンサー感知から起動までの時間設定、小洗浄判定時間の設定、人体からの距離人感センサのセンサー感度の設定などのさまざまな設定が、機器内部のスイッチにより切り替え機能が搭載されている。

また、最近の自動フラッシュバルブの一部は発電用水車が内蔵され、水勢を利用して水力発電をして自らの制御電力に使用する機能を搭載した機種も存在する。 人感センサ式自動フラッシュバルブと和風便器の組合せの場合、用便動作中の身体の動きによって用便位置が動くとセンサーが反応して勝手に洗浄開始されてしまうこともある。

電源がAC100V式の電装フラッシュバルブは電源スイッチや電源プラグを入れると試運転として自動的に1回吐水する。

最近では0.04MPa程度の給水圧でも正常に作動するフラッシュバルブも開発されており、この場合、専用の便器との組み合わせが必須である。

人感センサ赤外線以外にマイクロ波を利用した人感センサが搭載された機種もあり、この場合センサーの小窓が無く、よりスッキリとした印象に仕上がっている。

電装式フラッシュバルブは電装機器内には自動洗浄機能の入切、感知距離の設定、自動洗浄開始時間の設定、感知時間の設定、感知時間による小洗浄と大洗浄の判定時間の設定等のスイッチが内蔵されている。

用途別及び他の機能搭載

低水圧用

低圧型フラッシュバルブから給水される床下給水和風便器
低圧型フラッシュバルブのピストンバルブ部

通常のフラッシュバルブの設置されている施設の屋上階や最上階などにおいて最低必要水圧(流動時)0.07MPaを確保できず、0.04MPa以上の水圧があるトイレ用として低圧型フラッシュバルブが存在する。

ピストンバルブは通常の縦方向の上下動作式とは異なり、横方向に左右に動作するスライド式でピストンバルブのリリーフ弁、圧力室側にはにリリーフ弁押さえ兼復帰用のバネを配し、洗浄終了時におけるバルブ閉止時の復帰には圧力室にストレーナーフィルター)から小穴を経て入水する水圧と共に、ピストンバルブに付帯する復帰バネのバネ圧で補助して閉止する構造になっている。

このことから本体の形状は起動弁(起動レバー棒)から横方向奥に膨らんでおり、その内部には横方向にピストンバルブと復帰バネが内蔵されている。その一番奥の先端には圧力室の蓋を兼ねた復帰バネとピストンバルブの取り出し口部となっている。

便器に流れる流水も一般型のフラッシュバルブより吐水圧が低いことから流水時間が長くなる仕組みになっている。

低圧型フラッシュバルブの場合、使用できる便器の機種も制限され、一定以上の水圧を必要とするブローアウト式便器やサイホン式便器、サイホンゼット式便器(一部の機種を除く)との組み合わせは出来ない。

耐海水用・再生水用

便器の洗浄水に海水を使用する船舶関係では、海水の塩分による腐食防止を対策をした耐海水用フラッシュバルブが使用される他、便器の洗浄に雨水や井戸水の他、再生水、中水道工業用水道などを使う場合も腐食対策対応の再生水用フラッシュバルブが使用される。

これらの腐食防止対策をしたフラッシュバルブは、部材に高耐食性材質や材料が使われ、高耐食めっきがされている。

耐海水用フラッシュバルブについては通常の上水用フラッシュバルブとは違いバキュームブレーカの設置義務は無い為に、バキュームブレーカは取り付けられていないことがある。

また水質の性質上、水中に含まれるプランクトン藻類の異物がピストンバルブのピストンバルブストレーナーを塞ぐこともあることから、きめ細かい周期で定期的にピストンバルブを取り出してストレーナーに溜まった異物をブラシ等で清掃除去が必要となる。

寒冷地用

寒冷地用フラッシュバルブの凍結防止弁部(右側)

フラッシュバルブ本体側面または背面に凍結防止弁があり、凍結防止弁はピストンバルブ部を介さないバイパス管路になっており、凍結のおそれがある冬場に凍結防止弁を開いて常に一定量の水を流動させ便器に排出させることで、フラッシュバルブ本体や給排水管、便器内、便器のトラップの凍結、破損を防止する流動式フラッシュバルブで、各機器の凍結を予防する、 寒冷地用(不凍結タイプ)大便器フラッシュバルブの場合、凍結防止弁を開いている時に流れる水の量は水圧0.2MPa(流動時)の時に、約15L/時(約250cc/分)程を常に少量の水を便器に流動させる。

薬剤供給機能搭載

 
大便器のフラッシュバルブに連結された薬剤供給装置(日本カルミック社製)(写真上) フラッシュバルブに内蔵された薬剤供給装置(起動レバーハンドル付け根上部の円筒形の部分が薬剤希釈槽)(ダスキン社製)(写真下)
 
自動フラッシュバルブと一体になった自動薬剤供給装置の使用例。排水や薬剤の自動滴化だけでなく、検知した使用時間に応じて排水量をコントロールして節水にも役立てている製品も開発された(写真:日本カルミック 社製サニタイザー)。(写真上は小便器用・写真下は大便器用)
日本カルミック社製オートサニタイザーと組み合わされた大便器
フラッシュバルブの吐水終了直後薬剤溶液が注ぎ込まれて薬液が滞留する大便器内(日本カルミック社製薬液)

フラッシュバルブ式のトイレではタンク式のように便器洗浄薬剤や消毒剤などを容易に投入できないことから、衛生面や快適性を重視する施設の水洗トイレでは、小便スラッジからなる悪臭や汚れを防止するために便器や排水管への尿石付着防止の消毒洗浄芳香薬剤を一定量、一定濃度に生成して便器に供給する水洗便器用薬剤供給装置があり、薬剤供給装置をフラッシュバルブから便器に至る洗浄管に組込み(連結)され便器に薬剤を供給されるが、最近では薬剤供給装置自体を手動フラッシュバルブや大洗浄、小洗浄の流し分け判定機能による水洗時間と流量、頻度を自動制御する自動フラッシュバルブ本体に内蔵したビルトインタイプの薬剤供給装置が大便器用、小便器用共に存在し、これらの自動薬剤供給装置はタッチレスによるクリーンさと使用頻度を認識。頻度に応じて水洗量を最適に自動調整し内蔵タイマーとセンサーにより効率的に便器に薬剤を供給し、大便器用では、内蔵タイマーとセンサー使用状況に応ずる適量の薬剤の自動滴化だけでなく、検知した使用時間に応じて排水量をコントロールして大小を自動判定洗浄するので節水効果が高く節水に役立てている他、一部のビルトインタイプの薬剤供給装置は壁内に設置された機器や便器内に内蔵された機種も存在する。これらの薬剤供給装置は便器への流水が終了する間際にフラッシュバルブ本体に内蔵された薬剤供給装置からフラッシュバルブの流水が閉止する寸前に常に一定量の薬剤量及び薬剤濃度の薬剤を溶解した薬剤水溶液が便器に供給され、便器から出てきた薬剤により便器表面がコーティングされると同時に消毒、脱臭、尿石の付着防止、便器や排水管の詰まり、防汚をする。

大小切り替え用

大小切り替えフラッシュバルブの操作弁部

かつて販売されていたフラッシュバルブで手動フラッシュバルブの洗浄起動レバー棒を下向けに操作すると大洗浄、上向けに持ち上げ操作すると小洗浄となり下向けと上向けで吐水洗浄水量が変動するフラッシュバルブであり、洗浄レバー棒の袋ナット部には〔↓大・↑小〕の表示刻印がなされていて、上向き操作と下向き操作では起動押し棒の吐出する長さが違い、ピストンバルブの起動羽根に接触させる押し棒の押し込み量を変えることで吐水洗浄量を変える構造で、低圧でも作動可能なように低圧型フラッシュバルブと同構造であり、小洗浄の機会が多い女性トイレで節水が期待されたが、一般的に周知がなされていないのと、不潔な印象なある洗浄起動レバー棒を手で上方向に手で持ち上げて操作して小洗浄する利用者も少なくあまり普及しなかった。またこの機種は低圧型フラッシュバルブを基本にしているためにブローアウト式便器やサイホン式便器、サイホンゼット式便器(一部の機種を除く)の洋式便器には使用出来ず。和式便器が主流の時代に開発され主に和式便器に組み合わせるのを想定していたことから洋式便器普及と和式便器衰退もこの機種が普及しなかった一因ともなった。その後現在では大小切り替えは電装式のセンサーによる滞在時間、洗浄回数による大小判別センサー洗浄により大きく普及している。

擬音装置搭載

擬音装置が設置されたフラッシュバルブ式便器

フラッシュバルブ式トイレには壁にフラッシュバルブの流水音を発する擬音装置が設置される他に 電装式のフラッシュバルブには便器洗浄機能以外に擬音装置が内蔵され機種もあり、赤外線人感センサで大便器の個室内で人体を感知すると自動的にフラッシュバルブの流水音の擬音装置が作動して、不必要に音消しだけの為にフラッシュバルブを操作させなくして水の無駄遣いを防止する。

この装置が設置されているトイレには、マスキングのために水を流すのをやめるよう、啓蒙用表示の掲示やポスターなどが貼ってあることもある。

通報機能搭載

擬音装置や通報システムを搭載した電装式の最新の翼車式フラッシュバルブ

最新の電装式フラッシュバルブは人感センサを便器洗浄機能以外に防犯や安全にも利用され、一定時間以上同一人物が入室したままの場合、盗撮などの防犯や中で人が倒れている恐れもあるので、安全のために通報する機能や、フラッシュバルブがいたずらをされた時や故障時など、機器の異常を通報する機能を併せ持っているものもある。

盗撮不審者が疑われる長時間入室の退室後や悪戯が疑われる機器の異常を感知した場合、トイレ入口部の防犯カメラと連動し、管理人室に発報される他、中には警備会社の警備システムと連動しているものあり、警備会社に自動的に通報が行われる機能を併せ持っている機器もある。

タンク排出用

反応缶、タンク底などに取り付け、タンク内の流体排出・抜出しに使用することもある。タンク弁、Y形フラッシュ弁、底弁などと呼ばれる。(Flush bottom valve)

構成部品・材質

フラッシュバルブはボディや内蔵されたバルブやバキュームブレーカも含めて概ね100以上の部品から構成されている。

材質は、ボディやピストンバルブ部、押し棒部は真鍮青銅鋳物製でピストンバルブ内のリリーフ弁には潤滑剤としてグリスが塗布されている。ピストンバルブの内部のバネ部(古い物は真鍮製)とストレーナーフィルター)部とシートパッキン中心部は状のステンレス製、ピストンバルブのワン皮パッキン、Uパッキン、バキュームブレーカの吸気弁、給水塞止弁はまたは合成ゴム製、ストップバルブ(止水栓)、バキュームブレーカ、シートパッキンの外枠部などのパッキン類は合成ゴム天然ゴム皮革製、ピストンバルブ内部のバルブ部、バキュームブレーカ内枠、レバーハンドルの押し棒部付根はABS樹脂製、近年の節水フラッシュバルブ用ピストンバルブの本体はABS樹脂製、起動羽根はステンレス製、ストレーナーの漉し網部分はテフロン製、のメッシュの物もある。また起動押し棒部本体が真鍮製のものは起動押し棒本体と押し棒の金属同士のスライド摺動箇所の摩擦部を円滑する潤滑剤としてグリスが塗布されているが、近年のピストンバルブや押し棒の軸受け部本体はABS樹脂製となりグリスレスとなって便器への流水の油脂成分流出混入による便器の汚損防止がされている。

以前に製造されたフラッシュバルブのピストンバルブには牛革なめし加工した皮革製のパッキンが使用されており、革パッキンであれば、摩擦抵抗が小さい為、ピストン運動に強く、万一傷が出来て漏れ出してきてもある程度繊維が傷を埋めていく働きをする皮革製のわん皮パッキンが使用されていたが、近年は合成ゴムの性質も改良されて安価で大量生産出来、容易に交換できる合成ゴム製のパッキン製のみが使用される。配管接続部やバキュームブレーカの一部のパッキンには石綿製のパッキンも使われたが、アスベスト問題法的規制があり、現行品のフラッシュバルブには使用されていない。

フラッシュバルブの保守、点検

本体部、ピストンバルブ部

フラッシュバルブの蓋を外したピストンバルブの状態
点検で取り出されたピストンバルブの様子

フラッシュバルブの多くが不特定多数の人が使用するトイレに設置されており、故障防止や機能低下防止の為に日常の定期点検が必要で、本体に内蔵されているピストンバルブの小穴の詰まりを防止するストレーナーフィルター)や小穴自体が水垢や水中に含まれるカルシウムバクテリアによるスライム、受水槽高置水槽に発生する藻類、さらに海水や河川水使用の場合はプランクトン等の数種の藻類などの異物が詰まるとピストン弁の下降動作となる復帰に時間を要し、便器に供給される水が止まらなくなったり、極端に吐出する水量が増えたり、流れなくなる他、小穴が完全に詰まると便器の水が出っ放しで止水しなくなるトラブルが発生する。ピストンバルブはフラッシュバルブ起動毎に高圧で上下にピストン運動を繰り返す為に外周のわん皮パッキン(Uパッキン)が摩耗する場合があり、摩耗劣化が進み少しでも亀裂が入ると、起動弁を操作しても起動弁が押されている時だけしか水が流れなくなるれなくなったりするトラブルやUパッキンの劣化で硬化するとピストンバルブの上下ピストン運動に支障が出て便器の吐水に影響が発生することから、月/1回ピストンバルブを取り出して水中の不純物除去の濾過部位であるストレーナーフィルター)や小穴の清掃と、パッキン類の摩耗や劣化を点検をする事をメーカーでは推奨している。ピストンバルブのストレーナーの濾し網部の清掃はブラシなどで、小穴の清掃は荷札の針金のような細い針金で行うように推奨されている。 また、ピストンバルブ本体の真鍮酸化することで生成される青緑色のである緑青が発生することがあり、緑青は表面に皮膜を作り内部の腐食を防ぐ効果あるものの、真鍮製のピストンバルブの案内羽根にも緑青が発生して蓄積されると起動時に上昇したピストンバルブの案内羽根を介して吐水される洗浄水に水質によっては緑青の成分が便器に溶け出して便器のリム部(縁部)内側全周に無数にある吐水穴から便器表面の流水部が緑色に滲む汚損が発生することがあることからピストンバルブ点検時に錆びの緑青を錆び取り材やワイヤーブラシで等清掃し取り除く。(最近の製品では案内羽根を含むピストンバルブ本体がABS樹脂製のものが増えている)

フラッシュバルブのピストンバルブ交換用牛革パッキン
交換が容易な合成ゴム製ピストンバルブ用Uパッキン

わん皮パッキン(Uパッキン)のみ交換される場合は近年の製品は合成ゴム製のUパッキンのためにピストンバルブの溝にはめ込むためにゴムの弾力により容易に交換できるが、牛革なめし加工した皮革パッキンが使用された旧型ピストンバルブではわん皮パッキン押さえ開閉工具を用いてパッキン交換が行われるが常時フラッシュバルブ内の水中に納まっていることから酸化や水中のカルシウム分固着によりパッキン押さえが固着している事が多く交換に困難を要する他、皮革パッキンのピストンバルブは月/1回ピストンバルブを取り出して皮革パッキン部に保革油を給脂して油を革の奥までを浸透させて革に柔軟性をアップさせてピストンバルブの昇降運動を滑らかにして便器への吐水も安定させ、革の割れを防止する定期メンテナンスが必須で、この場合皮革パッキン部に保革油を給脂した直後及び暫くは給脂したパッキン部から滲み出た油脂成分が便器から出て来て便器内のトラップ等の溜水部に油膜が張る場合があり、便器内の水面には油膜による光の干渉と回折による虹彩現象が発生する場合がある。このことから皮革パッキン製の旧型ピストンバルブにおいては困難なパッキン押さえ開閉工具を用いてのメンテナンスや保革油による定期的な給脂を簡略にするため及び給脂後に便器から出て来る油脂成分による便器内や便器表面の汚損防止から近年では旧型ピストンバルブ用の合成ゴム製のUパッキンが使用された互換品も発売されている。

フラッシュバルブが多く設置されている施設においては、フラッシュバルブ故障時(殆どがピストンバルブの動作不良等ピストンバルブが原因)の修理完了までのトイレ使用不可能による施設運営上のリスクを未然に防ぐ為に、あらかじめ新品及び、ストレーナーと小穴を清掃、パッキン類は摩耗があれば交換し、リリーフ弁や起動羽根などの可動部をグリスなどの潤滑剤で給脂、ピストンバルブ本体の錆(緑青)をワイヤーブラシで清掃した点検、メンテナンス済の予備のピストンバルブをストックしておき、定期的にピストンバルブを交換される場合が多い。 また、ピストンバルブ内や、バキュームブレーカ部の可動部にはグリスなどの潤滑剤を定期メンテナンス時に塗布、給脂され、特に起動押し棒には押し棒部本体と押し棒の軸と軸受け部の金属同士の摺動箇所摩擦部には押し棒の平滑性とスライドを円滑にするために潤滑剤としてグリスが塗布されているが、グリス切れ時(起動レバー弁操作時に「キュッ」といった音を立てる場合等)はメンテナンス時にグリスの塗布給脂が必要となり、押し棒の摺動性が悪くなり抵抗がある場合はモリブデンやモリブデン入りグリス等のモリブデン配合油脂が塗布される。(近年の製品ではグリスの給脂による油脂成分による便器の汚損防止として押し棒台座がABS樹脂製となりグリスレスの材質のものもある)

フラッシュバルブバルブ起動事に押し棒がピストンバルブの起動羽根の同じ位置に接触して起動すら事から長年同じ位置に接触していると起動羽根の摩耗金属疲労の原因になることから、起動羽根の摩耗防止のために、ピストンバルブの点検や交換時にフラッシュバルブ本体にピストンバルブを収納する時に、押し棒と起動羽根の当たり面の接触位置を回しずらして前回の接触位置と変えて収納する。

新品の節水型ピストンバルブ(左)とメンテナンス時に取出されたピストンバルブ(右)(ストレーナー濾し網下部に僅かに藻類が詰まり案内羽根部は緑青で錆びている)

交換したピストンバルブはメンテナンスした上で次回の交換時に使用され、ローテーションを繰り返し使用されるが、ピストンバルブは同型品であっても各々が個性的な動作をする事があり、ピストンバルブ交換後、同一条件であっても便器の水の流れ方が変わったり、吐水量が変わり、汚物が流れきれなくなる場合や、逆に吐水量が必要以上に増えたりする場合があるので、交換後は便器の吐水状況を確認し、本体上部にある流量調整ネジなどで水の出力を調整する。この流量調整ネジは時計回りに回すと洗浄水量が減少し、反時計回りに回すと洗浄水量が増加する。手動フラッシュバルブの起動レバーペダルは手で操作することが前提に設計されている部品であるが、不衛生のイネージや位置的に足蹴りで操作されることのほうが多いが、足で操作されると手でよりは格段の応力がかかり器具の傷みを早めて漏水などの故障につながり、ピストンバルブのリリーフ弁や起動羽根の破損や起動押し棒部破損など故障の原因となることが多く、予備のピストンバルブをストックすることが必須となる。

ピストンバルブの下部のシートパッキンの細かな網部に異物が詰まったり、網部が傷つくと止水不良で少量の水が流れっぱなしになるので、ピストンバルブ取り出し時にシートパッキンの網部の点検も必要であると共に網部の損傷を考慮してシートパッキンもストックされる場合が多い。

フラッシュバルブ内空気混入が原因で便器通水路部が破裂、破損した例

またフラッシュバルブの配管に空気が混入した場合圧エアー混入により、水撃作用(エアーハンマー)によるフラッシュバルブ作動時に爆発音のような音を立てて起動し、便器の水が飛び散るトラブルや管内に圧力変動が伝播し、配管の振動を引き起こし、急激な圧力によりフラッシュバルブが破損してしまう場合があり、さらに酷い急激な圧力が発生すると場合によってはフラッシュバルブを通り越してフラッシュバルブと繋がっている便器の通水路内に供給され便器自体までも突然破裂し破損してしまう事が起こってしまうために空気混入の恐れのある配管にフラッシュバルブを設置する場合は必ず空気抜き弁を設ける。

バキュームブレーカ部

フラッシュバルブの起動、吐水時(便器通水洗浄時)の吸気弁パッキンの閉塞状態
フラッシュバルブ起動・吸気弁パッキンの閉塞時の吐水状態
フラッシュバルブの閉止時(待機時)の吸気弁パッキンの開放待機状態
フラッシュバルブの閉止・吸気弁開放吸気時における便器の排出状態

フラッシュバルブを操作して便器の洗浄水を流す度に吸気弁と給水塞止弁が昇降開閉動作を繰り返し、汚水の逆流防止のための負圧破壊装置であるバキュームブレーカが故障すると負圧が発生した時に汚水が逆流する恐れと吸気弁に異物が付着すると水漏れが発生する恐れがある為に、定期的にバキュームブレーカの吸気蓋を取外した上で、フラッシュバルブ を操作して水を流して、吸気弁の昇降開閉動作の作動状況を確認し、吸気時に空気に混じった埃などの吸気弁パッキンへの付着した異物の清掃と吸気弁からの水漏れが無いかを点検する必要がある他、概ね年に1回オーバーホールを行い分解して可動部にグリスのなどの潤滑剤により給脂を行い、吸気弁が摩耗している場合水漏れの原因にもなるため、吸気弁のパッキン部を交換する必要がある。

バキュームブレーカはフラッシュバルブの閉止の度に(便器洗浄終了の度に)吸気弁から吸気するために吸気時に塵や埃等の異物を吸い込む場合があり異物が吸気弁に付着するとフラッシュバルブ起動時の吸気弁上昇閉塞時に吸気弁と弁座に隙間が空いて水漏れが発生して、異物が完全に噛み込むと吸気弁上昇閉塞を妨げられて水が噴き出すトラブルが発生する場合があり、この際は直ちに吸気蓋を取り外して吸気弁の異物を取り除く。特に壁給水壁排水のフラッシュバルブと床下給水和風便器の組合せ等のフラッシュバルブから便器に至る洗浄管が長い場合、長ければ長いほどバキュームブレーカから激しく唸るような吸気音を立てて大量に吸気することから吸気時に空気中の塵や埃等の異物を余計に吸い込むこともあるので定期的なメンテナンスが重要である。

また、和風便器の場合、排便位置正面または真横辺りの位置にフラッシュバルブが設置されることから排便・排尿時にしゃがんだ姿勢の時に便器の前面にフラッシュバルブが設置される場合は斜め下に、横壁フラッシュバルブは目線の高さとほぼ同じ高さにバキュームブレーカが設置されていることから心無い悪戯や無知な利用者により吸気弁蓋の穴に異物を入れ込んだり、煙草の吸殻や灰をバキュームブレーカの吸気弁蓋の吸気穴に押し付けるなど、異物や煙草の繊維や灰が吸気穴から吸気動作時に内部へ吸い込まれて入り込んで吸気弁パッキンの開閉動作が阻害され、水が漏れたり水が噴き出すなどのトラブルや便器から出て来る水に異物や煙草の繊維や灰の混入して便器のリムにある小さな吐水穴の閉塞が発生することがありこの場合、直ちに吸気蓋を外してパッキンの開閉動作の阻害している異物を取除く。

ピストンバルブのパッキン類やバキュームブレーカの吸気弁のパッキンやピストンバルブの下部のシートパッキンなどの消耗品も交換用のストックを持つことでトラブル時の迅速な補修が可能となる他、定期的にリリーフ弁や押し棒部などの可動部への定期的なグリスなど、潤滑剤により給脂を行う。

また法令でフラッシュバルブにバキュームブレーカの組込み設置義務が無い時代に設置された古い施設に設置されたバキュームブレーカが組み込まれていないフラッシュバルブの場合、瞬間的に高水圧(強い水勢)水を吐出するフラッシュバルブの閉止後にはバキュームブレーカからの吸排気が無い事から便器へ繋がる配管に大きな残圧が残り、負圧(真空)状態になることからフラッシュバルブバルブ閉止後(便器洗浄終了後)残圧や逆サイフォン現象により便器の吐水口から負圧状態になっている配管に空気が管路中にスムーズに入らないために断続的に間欠性を持ちながら空気が逆流して配管内に入り込むと同時に残圧水が徐々に断続的に滴下されていき、配管内が大気圧状態に戻るまで、(洗浄管路や便器内の管から残圧が抜けるまで)の間(便器洗浄終了後およそ5分前後程)、便器の吐水口から空気が逆流する度に「ポコンポコンポコンポコン・・・」と断続的に(間欠的に)音を立てて空気逆流音がすると共に同じタイミングでフラッシュバルブの配管からは空気逆流時に残圧水の滴下音が「チョロッチョロッチョロッ・・・」と断続的に聞こえる現象が発生する。 このために古い施設では従来のフラッシュバルブにバキュームブレーカを組み込まれる場合やバキュームブレーカ付きの新しいフラッシュバルブに更新される事が多く、建物のフロアの改修工事の際のトイレ改修をはじめ、老朽化した建物自体の建て替え等でバキュームブレーカの無いフラッシュバルブのトイレ自体は減少している。

薬剤供給装置との協調

 
薬剤供給装置が連結され洗浄消毒薬剤が供給されている大便器とフラッシュバルブ吐水終了直前に薬剤供給装置からの薬液が注ぎ込まれる大便器の様子
フラッシュバルブと薬剤供給装置の間に減圧弁が組み込まれた例
満水・薬剤溶解時の機器内
濃厚な薬液が溶出した朝一番洗浄後の大便器内

フラッシュバルブから便器への配管に水洗便器用薬剤供給装置である薬剤供給装置が取り付けてある便器においては、ピストンバルブ交換により便器への水の流れ方が変わったり、吐水量が増減した場合、連通管を介して薬剤供給装置内に流入する水量や水勢が変動して、吐水量が減ったり水圧が低い場合、薬剤供給装置内に規定量まで流入しない不具合や水勢が高い場合、内部に仕込まれたフロート(浮き)が、上昇しても、洗浄水の勢いにより弁体やフロートが振動し続け、連通孔であるフロート弁が閉じずに、洗浄水の流入が適正なタイミングで止まらず、薬剤供給装置本体から洗浄水から希釈された薬剤の溶液が溢れてしまう可能性の他、内部のフロート弁が高水圧により急閉止して規定量まで流入しない不具合が発生し、フラッシュバルブ起動毎に薬剤供給装置内に一定量の水が入水し薬剤と混ざり、一定量に溶解した溶液が便器に注ぎ込まれて出て行く、一連の作動状況や機能に影響が出て、薬剤供給装置から便器に供給される薬剤の溶液の量や濃度が変わってしまい、薬剤供給装置の薬剤生成機能が著しく低下したり損なわれてしまう為、ピストンバルブ交換後はフラッシュバルブの操作により便器に流れる水量と、流水の強さが一定した状態が繰り返されるように調整した上で、機器内部のフロート弁の浮力による昇降動作を安定させて洗浄動作毎に安定した一定量の薬剤の溶液が(便器の、トラップなどの便器内に滞留する溶液の濃度は100ppm)便器に供給されるようにフラッシュバルブの出力と薬剤供給装置の動作が協調するように調整が必要となる。 また、フラッシュバルブの水勢が高い場合は連通管に減圧弁を設置して調整される場合もある。

薬剤供給装置は機種によっては使用待機中も薬剤供給装置の機器内で絶えず薬液を溶出し続けることから、薬剤供給装置が組み込まれたフラッシュバルブの使用頻度がかなり少ない施設や夜間に閉鎖される施設において朝一番洗浄まで等の長時間使用待機後のフラッシュバルブ起動時には薬剤供給装置内で長時間溶出された過度な濃厚な薬液が便器から出てくる場合がある。施設の朝一番清掃時に朝一番洗浄に便器に溶出する濃厚な薬液を利用して便器内の清掃に利用される。このために朝一番洗浄後には便器に溶出された濃厚な薬液による泡立ちが顕著に見られる。

また、大便器においては給水管に負圧が生じた場合に薬剤供給装置から便器に溶出した薬液が上水に逆流を防止するためにバキュームブレーカの設置が必須である。

保守、点検前後の止水、試運転

フラッシュバルブの閉止後機器内の残圧抜き作業時の便器排出の様子
フラッシュバルブの閉止後ピストンバルブ点検の様子(ピストンバルブの弁座部に見えるのがシートパッキン部)
ピストンバルブ交換後の動作確認、出力調整、試運転の様子
フラッシュバルブの保守点検後の安定した流水の様子

マイナスドライバーなどを使用して止水栓を閉める(節水形フラッシュバルブは止水栓カバーを取り外すと止水栓がある)起動レバー棒などの起動弁を操作してフラッシュバルブの機器内の残圧を便器に抜いて便器から完全に水が出なくなることを確認した後(止水栓が確実に閉止していなかったり、残圧が残っていると蓋を緩めた時に水が噴き出す)、モーターレンチスパナ、あるいはモンキーレンチを使って本体蓋など分解を始め、保守、点検、部品交換を行う。

(旧型バキュームブレーカ付きの場合ピストンバルブから給水塞止弁の間に残圧により給水塞止弁上に水が残留しているが点検でピストンバルブを抜き取ることで空気が入り込み給水塞止弁上に残留していた水が便器から出て来る。一方、バキュームブレーカが付いていないフラッシュバルブの場合フラッシュバルブの機器内だけでは無く、フラッシュバルブ~便器吐水口に至る給水管路及び便器内の管路にも残圧が残っているためにフラッシュバルブ本体蓋を開きピストンバルブを抜き取ると空気が入り込み管路内の残水が便器から出て来る(本体部を外し開いてピストンバルブを抜き取る前に起動弁を操作するとリリーフ弁が開くことにより空気が入り込み、洗浄管路〜便器内の管路の残圧を抜くこともできる))

保守、点検、部品交換が完了すると本体蓋などを元に戻してレンチなどで完全に締め付けた後、止水栓を開けて加水(給水状態)して本体に水を供給し、加圧状態に戻して起動レバー棒などの起動弁を操作して通水試運転を行い、フラッシュバルブの各部や配管各部の接触箇所からの水漏れの確認と便器の洗浄状態を確認して流水の水勢(水圧)は止水栓の開閉で行い、流水時間は本体上部にある流量調整ネジで行う(量調整ネジ部にあるピストンバルブは昇降ストローク量により流量が変動することから、ネジを開けると吐水量が増え、ネジを閉め込むと吐水量が減る仕組みとなっている)。 また、保守、点検、部品交換完了後にフラッシュバルブ内に空気が混入した場合、フラッシュバルブ作動時に便器の水が飛び散るトラブルや管内にエアーハンマーによる圧力変動が伝播することから何度かフラッシュバルブを起動させてバルブ内の空気を便器に抜く。

フラッシュバルブ給水用便器

便器の種類によっては一定以上の水圧が必要な機種フラッシュバルブの吐水性能に特化した特性の便器が存在し、フラッシュバルブ専用便器、フラッシュバルブ給水を推奨したフラッシュバルブ用便器が存在する。  

またフラッシュバルブ給水の便器とフラッシュバルブの組み合わせの関係については、よく自動車に例えられて説明される。便器がボディーとすればフラッシュバルブはエンジンに相当し、両者一体となって初めて十分な機能を発揮することが出来ることから、フラッシュバルブと便器は一度接合施工されると異体同心の関係となる。   便器の機種によってはフラッシュバルブの機種が指定されていることも多く、フラッシュバルブの機種の違い次第で同じ便器でありながら性能や特性が違ってくるなど、便器とフラッシュバルブの組み合わせの選択は重要となる。

フラッシュバルブ給水用洋式(腰掛)便器

フラッシュバルブ用サイホンゼット式便器
片持ちタイプの壁掛け式ライニングユニット用便器(ウォシュレット付き)

フラッシュバルブ専用としてはサイホンゼット式とブローアウト式便器が存在し、サイホンゼット式は強力な水勢のゼット孔をトラップ底面から排出口へ向かって設け、ゼット穴から吹き出す水が強いサイホン作用を起し、その噴出力で汚物を 吸い込むように排出する。

ブローアウト式はサイホンゼット式ににているがサイホン作用を利用せず、水勢のみでの排出するため一定以上の水圧が必要になることからタンク式では使用出来ず必ずフラッシュバルブとの組合せが必須である。 これらの便器は水たまり面が広く、汚物が水中に沈みやすく汚物の付着、臭気の発散がほとんどない利点がある一方で一定以上の水圧が必要なので、洗浄方式はフラッシュバルブに限られフラッシュバルブ専用便器とされている。

ライニングユニット用便器のフラッシュバルブ点検口

また乾式工法のトイレ施工として、あらかじめ工場生産された部材を搬入・ 組み立てするライニングフレーム枠にパーティション板や木目や石目などに装飾された板などを使用した前板と上部に甲板がある壁内にフラッシュバルブ、給排水管、換気装置を組み込み、専用便器でユニットを配したライニングユニット便器があり、壁内の専用フラッシュバルブとライニングユニット専用便器があり、これらの便器は壁給排水が可能で清掃も容易な片持ちタイプの壁掛け式の便器が使用される。水まわり空間を合理的に構築するシステム工法で、これらのライニングユニット便器ではフラッシュバルブが内蔵されている付近の壁が点検を容易にできるように脱着可能なようにできている他、壁部にフラッシュバルブ点検口が設けられる場合もある。ライニングユニットでは洋式便器のみならず後述の床下給水和風便器との組合せされる場合もある。

フラッシュバルブ給水用和風(和式)便器

和風便器においてもブローアウト式はフラッシュバルブ給水専用とされているほか、床下給水和風便器がフラッシュバルブ用として多く施工されている。

床下給水和風便器

フラッシュバルブと多く組合せされる床下給水和風便器

床下給水和風便器は給水口が金隠し部の床下にあり地中に埋め込まれた給水管と接続され、給水管が露出せずフラッシュバルブを壁や便器から離れた場所、壁内などのフラッシュバルブを邪魔にならない自由な場所に設置出来、美観面にも優れ、フラッシュバルブの吐水性能と相性が良く、デパート、ホテル、オフィス、駅など非住宅のパブリックな空間で床下給水式和風便器はフラッシュバルブと組み合わせられることが大半を占めている。

またフラッシュバルブ給水用と位置づけされる床下給水和風便器は、給水口が便器の通水部(リムの下部)より低い場所にあるため、便器内通水路部の残水を排出する排出用の米粒大の小穴が設けられている。この小穴は冬場の残水凍結による破損防止の他、フラッシュバルブ閉止後のフラッシュバルブから便器内の管路内の残圧を排出する目的がある。このためにフラッシュバルブが閉止後かつ便器洗浄終了直後は、便器の金隠しの残水穴から、便器内の残水をちょろちょろと排出する姿が見られ、これはフラッシュバルブ用とされる床下給水和風便器の特徴となっている。 この残水小穴は多少の穴径(大きさ)の違いや歪な穴形状であったり、残水の方(残水の流れ方が真下ではなく多少左右に振れた流れ方)等便器生産過程により便器毎に各々個体差はあるが便器内の残水を排出するためだけの機能であるのでメーカー出荷時に基準には謳われていない。

フラッシュバルブと床下給水和風(和式)便器の残水小穴の関係
便器の残水小穴からのフラッシュバルブ~便器内の管路の残水排出の様子
水洗便器用薬剤供給装置からの薬液が注ぎ込まれた便器の様子

またフラッシュバルブ給水用と位置づけされる床下給水和風便器は、給水口が便器の通水部(リムの下部)より低い場所にあるため、便器内通水路部の残水を排出する排出用の米粒大の小穴が設けられている。この小穴は冬場の残水凍結による破損防止の他、フラッシュバルブ閉止後のフラッシュバルブから便器内の管路内の残圧を排出する目的がある。このためにフラッシュバルブが閉止後かつ便器洗浄終了直後は、便器の金隠しの残水穴から、便器内の残水をちょろちょろと排出する姿が見られ、これはフラッシュバルブ用とされる床下給水和風便器の特徴となっている。 残水穴からの残水排出される時間はフラッシュバルブが閉止後およそ1分程であるが、バキュームブレーカが組み込まれていないフラッシュバルブの場合、閉止後にはバキュームブレーカからの吸排気が無い事から便器へ繋がる配管に残圧が残り、負圧(真空)状態になり、残水排出される時間が長く約2~3分以上の時間を要し、フラッシュバルブから便器至る管路が長いほど残水排出時間が長くなり場合によっては5分以上時間を要して管路内の残圧を残水穴から排出される場合があるほか、残圧や逆サイフォン現象により便器の吐水口から空気が逆流して配管内に空気が入り込む状態となるため、配管内が大気圧状態に戻るまでは残水穴から残水排出されると共に洗浄管路や便器内の管路から残圧が抜けるまでの間、便器の吐水口から配管への空気逆流音が聞こえる現象が発生する場合がある。 さらにフラッシュバルブが閉止後(便器洗浄終了後)からかなり長い時間または長時間フラッシュバルブの起動が無い状態(便器の洗浄がされていない状態)でありながら残水穴からの水が出たままになっている場合はフラッシュバルブ内部のパッキン類の摩耗や故障が原因であり、ピストンバルブやパッキン類の交換の目安となり、残水穴からの水の出方次第でフラッシュバルブの状態の診断にもなる。 床下給水和風便器の特徴である残水小穴は冬場の残水凍結による便器の破損防止と共にフラッシュバルブから便器至る管路及び便器内の管路の残圧排出、パッキン類の摩耗や故障予知の目的があることからフラッシュバルブと床下給水和風便器≒残水小穴は密接な関係がある。 またフラッシュバルブに水洗便器用薬剤供給装置が連結されている場合、フラッシュバルブの洗浄終了間際に薬剤の溶液が便器に注ぎ込まれて洗浄・脱臭・静菌・排水管のつまり防止、便器の薬剤コーティングによる汚物付着防止がなされ、洗浄後の薬剤供給装置からの排出される薬液は残水小穴からも出てきて便器のトラップに滞留して次の洗浄までトラップ内で脱臭・静菌・尿石の付着防止の効果を発揮する。

機能の応用と便器洗浄以外の使用例

オストメイト対応トイレの汚物流しに設置された例
手洗い衛生フラッシュ弁

フラッシュバルブの構造、機能は、シスタンバルブにも応用されており、シスタンバルブとは天井に近い位置にタンクを置き、タンクから伸ばされた給水管と床面の便器への中間部に低圧型フラッシュバルブと同仕様、同構造のバルブを組み合わせた給水装置であり、主に公衆便所の大便器の給水方式として多用されている他、過去には一部の古い戸建住宅でも採用された。フラッシュバルブと同じ操作方法、同じ作動原理でありながらボールタップ給水によるタンク式であるために満水になるまで次の洗浄が出来ない欠点があり、最近は採用例が減っている。

フラッシュバルブの水洗便器洗浄以外の設置例として、病気や事故などにより消化管や尿管が損なわれた、腹部などに排泄のための開口部(ストーマ(人工肛門・人工膀胱))を造設した人の人工肛門保有者・人工膀胱保有者のオストメイト対応の汚物流しの洗浄や、病院での検便、検尿後の検査で残った汚物を流す汚物流しの洗浄にも使用され、それらの汚物流しは殆どが汚物処理室やトイレの一角に設置されている他、過度の飲酒による嘔吐物洗浄の汚物流しの洗浄用として規模の大きい居酒屋や酒場のトイレの近辺に設置されている例もある。

トイレ内の手洗い器で押し釦弁を操作すると水が出て自動で止まる手洗い衛生フラッシュ弁と呼ばれる自閉式水栓はフラッシュバルブと同じ作動原理のである。

プッシュ式自閉水栓
温調整機能付き湯屋カラン

また、銭湯の給湯栓や水栓などで多く設置されているバルブを押すと一定時間、湯や水が流れて閉止するオートストップ湯屋カランと称され、ボタン等のバルブを1回押すと、洗い桶1杯分の約3リットルで自動的に止まる。特に銭湯、ホテルやサウナ、ゴルフ場などパブリックな浴室における流し放しを防止でき、お湯のムダ使いも防止できる。これらの自動水栓も、ピストンバルブ昇降による作動で、フラッシュバルブと同じ作動原理が応用されている。特に温調整機能付きオートストップ湯屋カランで普通水栓とシャワー水栓の両方が付いている機種はそれぞれの各機能に対応した2種のピストンバルブが内蔵されている。

脚注

    関連項目

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