ネオジム

ネオジム: neodymium [ˌniː.ɵˈdɪmiəm]: Neodym [neoˈdyːm])は原子番号60の金属元素元素記号Nd希土類元素の一つで、ランタノイドにも属する。

プラセオジム ネオジム プロメチウム
-

Nd

U
60Nd
外見
銀白色
一般特性
名称, 記号, 番号 ネオジム, Nd, 60
分類 ランタノイド
, 周期, ブロック n/a, 6, f
原子量 144.242
電子配置 [Xe] 4f4 6s2
電子殻 2, 8, 18, 22, 8, 2(画像)
物理特性
固体
密度室温付近) 7.007 g/cm3
融点での液体密度 6.89 g/cm3
融点 1297 K, 1024 °C, 1875 °F
沸点 3347 K, 3074 °C, 5565 °F
融解熱 7.14 kJ/mol
蒸発熱 289 kJ/mol
熱容量 (25 °C) 27.45 J/(mol·K)
蒸気圧
圧力 (Pa) 1 10 100 1 k 10 k 100 k
温度 (K) 1595 1774 1998 (2296) (2715) (3336)
原子特性
酸化数 3, 2(弱塩基性酸化物
電気陰性度 1.14(ポーリングの値)
イオン化エネルギー 第1: 533.1 kJ/mol
第2: 1040 kJ/mol
第3: 2130 kJ/mol
原子半径 181 pm
共有結合半径 201±6 pm
その他
結晶構造 六方晶系
磁性 常磁性反強磁性 (< 20 K)[1]
電気抵抗率 (r.t.) (α, poly) 643 nΩ·m
熱伝導率 (300 K) 16.5 W/(m·K)
熱膨張率 (r.t.) (α, poly) 9.6 µm/(m·K)
音の伝わる速さ
(微細ロッド)
(20 °C) 2330 m/s
ヤング率 (α form) 41.4 GPa
剛性率 (α form) 16.3 GPa
体積弾性率 (α form) 31.8 GPa
ポアソン比 (α form) 0.281
ビッカース硬度 343 MPa
ブリネル硬度 265 MPa
CAS登録番号 7440-00-8
主な同位体
詳細はネオジムの同位体を参照
同位体 NA 半減期 DM DE (MeV) DP
142Nd 27.2% 中性子82個で安定
143Nd 12.2% 中性子83個で安定
144Nd 23.8% 2.29 × 1015 α 1.905 140Ce
145Nd 8.3% 中性子85個で安定
146Nd 17.2% 中性子86個で安定
148Nd 5.7% 中性子88個で安定
150Nd 5.6% 6.7 × 1018 ββ 3.367 150Sm

名称

ギリシャ語で「新しい」を意味する neos とジジミウム(ジジムともいう)を合成したのが語源[2]
ジジミウムはプラセオジムとネオジムの混合物で、かつては1つの元素だと考えられていた。ネオジムはプラセオジムとともに1885年にジジミウムから単離・発見され、「新しいジジミウム(ジジム)」を意味する名が付けられた。

日本語の「ネオジム」はドイツ語の Neodym の字訳である。製品名等で「ネオジウム」「ネオジューム」等の呼称も用いられることがある。

性質

銀白色の金属で、常温、常圧で安定な結晶構造は、複六方最密充填構造(ABACスタッキング)、868℃〜1021℃の間で安定なのは体心立方格子。比重は7.0、融点は1,024 ℃、沸点は3,027 ℃。

安定な原子価は、4f3電子配置をとる3価である。常温で空気中において表面のみが酸化され、高温では燃焼して淡赤紫色の酸化ネオジム(III) Nd2O3 となる。ハロゲン元素と反応しハロゲン化物 NdX3 を、熱水と徐々に反応して水素および水酸化物を生成する。には易溶で3価の淡赤紫色の水和イオン Nd3+(aq) を生成する。

なお、ランタノイドの中では比較的イオン半径が大きい。

モナズ石(モナザイト、(Ce,La,Nd,Th)PO4:単斜晶構造のリン酸塩)に含まれる。

単体のネオジムを得るには、無水塩化ネオジムを融解塩電解する方法や、カルシウムナトリウムを使って還元する方法がある。

用途

磁石
ネオジムの用途で特に重要なのは、強い磁力を持った永久磁石を生産するために使用されることである。ネオジム、ホウ素の化合物 (Nd2Fe14B) は、大変強力な永久磁石であるネオジム磁石となる。ネオジム磁石は高性能のモータースピーカーなどの様々な分野で利用されている。
光学材料
ガラスに適量のネオジムの酸化物を加えると、可視光の内、黄色系統の光を吸収するのに他の色の光は透過させるという性質を持たせられる。よって、Nd2O3 がガラスの着色剤として使われることがある。
その他

歴史

カール・アウアー・フォン・ヴェルスバッハが、もともと一つの元素と考えられていた混合物であるジジミウム (didymium) からプラセオジムと共に1885年に発見[2]

化合物

化合物中の原子価は 4f3電子配置をとる3価が唯一安定なものである。4価を含む化合物が合成されたという報告もいくつかあるが、いずれも疑わしい[5]

  • 酸化ネオジム(III) (Nd2O3)
  • 水酸化ネオジム(III) (Nd(OH)3)
  • 塩化ネオジム(III) (NdCl3)
  • 硫酸ネオジム(III) (Nd2(SO4)3·8H2O)

同位体

脚注

  1. Gschneidner, K. A.; Eyring, L. (1978). Handbook on the Physics and Chemistry of Rare Earths. Amsterdam: North Holland. ISBN 0444850228
  2. 桜井弘 『元素111の新知識』 講談社、1998年、268頁。ISBN 4-06-257192-7。
  3. 岩波書店 岩波科学百科 1020頁
  4. Sr-Nd 横尾頼子、同位体を用いた地圏環境研究 筑波大学アイソトープ環境動態 (PDF)
  5. FA コットン, G. ウィルキンソン著, 中原勝翻訳 『コットン・ウィルキンソン無機化学』 培風館、1987年

関連項目

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