チオテパ

チオテパ英語: ThiotepaN,N,N-トリエチレンチオホスホルアミド)は、抗がん剤の一種。

Thiotepa
IUPAC命名法による物質名
臨床データ
Drugs.com 患者向け情報(英語)
Consumer Drug Information
MedlinePlus a682821
胎児危険度分類
  • AU: D
  • US: D
    法的規制
    投与方法 IV, intracavitary, intravesical
    薬物動態データ
    代謝肝臓 (CYP2B, CYP3A)
    半減期1.5-4.1 hours
    排泄腎臓
    6時間(ThioTEPA)
    8時間(TEPA)
    識別
    CAS番号
    52-24-4 
    ATCコード L01AC01 (WHO)
    PubChem CID: 5453
    DrugBank DB04572 
    ChemSpider 5254 
    UNII 905Z5W3GKH 
    KEGG D00583  
    ChEMBL CHEMBL671 
    化学的データ
    化学式C6H12N3PS
    分子量189.23 g/mol

    化学式SP(NC2H4)3で表される有機リン化合物で[1]N,N,N- トリエチレンホスホルアミド(TEPA)のアナログである。分子構造は四面体で、リン酸塩に似る。アジリジン塩化チオホスホリルから造られる。エチレンイミノ基を持ち、これが腫瘍細胞のDNAをアルキル化することにより腫瘍の増殖を抑制する作用を表す。類似の作用機序を持つ物質に、ブスルファンシクロホスファミドイホスファミドがある。

    歴史と用途

    チオテパはアメリカンシアナミド (American Cyanamid) が1950年代前半に開発し、1953年に発表した[2]。広く使用されるようになったのは、1960年代に入ってからである。

    イタリアのADIENNE Pharma &. Biotech社の申請により、2007年1月29日に欧州医薬品庁、2007年4月2日にアメリカ食品医薬品局より、造血幹細胞移植の前処理に用いる希少疾病用医薬品の登録を受けた[3]

    日本では1958年に認可され、テスパミン(大日本住友製薬)などの商品名で販売されたが、原薬メーカーの設備老朽化により2009年に出荷を終了した[4]

    チオテパは他の化学療法と組み合わせて使用される。

    • 全身照射の有無にかかわらず、成人および小児の血液疾患患者における同種または自家造血幹細胞移植(HPCT)の前処理
    • HPCTによる高用量化学療法が、成人および小児患者における固形腫瘍の治療のために適切であるとき[5]

    チオテパは、多種の腫瘍性疾患の緩和療法に使用されている。

    乳癌卵巣癌膀胱癌などにおける漿膜の空洞の拡散や胸水を制御する[5]

    チオテパはまた、膀胱癌における化学療法として使用される。用法の3つのパターンが識別される。

    1. 予防 - 膀胱鏡を用いた生体組織診断の際に腫瘍細胞の播種を防ぐために、採取前に使用
    2. 生体組織診断時の補助
    3. 治療 - 経尿道的膀胱腫瘍切除術(TURBT)の術後の再発防止

    4-6週間、膀胱内に毎週30 mgの用量で投与される。多くの研究では、成功率が55%と報告されている。

    主な副作用は骨髄抑制血小板白血球減少および貧血がある[6]。血液、肝臓および呼吸器系を含む重篤な毒性は、前処置レジメンおよび移植プロセスのによるものと考えられている。

    化学的性質

    CAS番号52-24-4。わずかな匂いのある白色の固体で、融点は52 ℃。マウスへの経口投与での半数致死量(LD50)は46 mg/kgのデータがある。医療用のほか、昆虫不妊剤としての用途もある[7]国際がん研究機関は、発癌性リスクをGroup1(ヒトに対する発癌性が認められる化学物質)と評価している。

    脚注

    1. Maanen, M. J.; Smeets, C. J.; Beijnen, J. H. (2000). “Chemistry, pharmacology and pharmacokinetics of N,N',N" -triethylenethiophosphoramide (ThioTEPA)”. Cancer Treatment Reviews 26 (4): 257–268. doi:10.1053/ctrv.2000.0170. PMID 10913381.
    2. Sykes, M. P.; Karnofsky, D. A.; Philips, F. S.; Burchenal, J. H. (1953). “Clinical studies on triethylenephosphoramide and diethylenephosphoramide, compounds with nitrogen-mustard-like activity”. Cancer 6 (1): 142–148. doi:10.1002/1097-0142(195301)6:1<142::AID-CNCR2820060114>3.0.CO;2-W.
    3. EMA Grants Adienne Marketing Rights for Tepadina”. dddmag.com. Drug Discovery & Development (2010年3月19日). 2011年11月25日閲覧。
    4. “販売中止予定のご案内” (pdf) (プレスリリース), 大日本住友製薬, (2008年11月), https://ds-pharma.jp/product/kaitei/pdf/hanbaityuusi/2008/tespamin_0811_tyuusi.pdf 2013年5月31日閲覧。
    5. URGENT – THIOTEPA UPDATE”. Food and Drug Administration. ADIENNE Pharma & Biotech (2011年4月5日). 2011年11月25日閲覧。
    6. Agnelli, G.; de Cunto, M.; Gresele, P.; del Favero, A. (1982). “Early onset life-threatening myelosuppression after low dose of intravesical thiotepa” (pdf). Postgraduate Medical Journal 58 (680): 380-381. doi:10.1136/pgmj.58.680.380. PMC: 2426344. PMID 6812036. http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2426344/pdf/postmedj00210-0063.pdf.
    7. 製品安全データシート厚生労働省 職場のあんぜんサイト)

    外部リンク

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