アルファ崩壊

アルファ崩壊(アルファほうかい、α崩壊、: alpha decay)とは、不安定原子核放射線としてアルファ線(α線)を放出する放射性崩壊の一種である。アルファ崩壊が発生する原因は量子力学におけるトンネル効果である[1]アルファ壊変(アルファかいへん)ともいう[2]

原子核物理学
放射性崩壊
核分裂反応
原子核融合

概要

アルファ崩壊は、ある原子核がアルファ粒子陽子2つ、中性子2つの、ヘリウム4原子核)を放出し、原子番号中性子数が2減る。

アルファ崩壊

例えば次のような崩壊の事を指す[3]

これはより一般的には次のように記述される。

アルファ粒子はヘリウム4の原子核でもあり、質量数や中性子数の減少はヘリウム原子核分と等しい。アルファ崩壊は一つの原子が二つの原子へと分かれる核分裂反応ととらえることもできる。

なお、崩壊の際にアルファ粒子は原子核内で働く核力(強い力)を振り切り、上回るだけのエネルギーを持つわけではない。アルファ崩壊はトンネル効果によりアルファ粒子がエネルギーの壁を通り抜け、原子核から飛び出すことにより起きている。原子核外へは強い力が及ばず、さらに原子核とアルファ粒子の間には電磁気力による斥力が働いているため、一度外へ出たアルファ粒子はそのまま原子の外へ高速で飛び出すことになる。

重い原子核が分裂することであるアルファ崩壊によりアルファ線が放出されるが、アルファ崩壊を起こす元素は崩壊系列の中においても限られ、崩壊系列のひとつであるウラン系列においてはウラン238(半減期は45億年)、ウラン234(半減期は24万年)、トリウム230(半減期は7万7千年)、ラジウム226(半減期は1600年)、ラドン222(半減期は3.82日)、ポロニウム218(半減期は3.05分)、ポロニウム214(半減期は164マイクロ秒)、ポロニウム210(半減期は138.4日)である[4]。半減期が短いほど高水準の放射性活性が短期間続き、半減期が長いほど低水準の放射性活性が長期間続く[5]アレクサンドル・リトビネンコ暗殺の死因はポロニウム210による体内被曝とされている[6]

脚注

  1. Gamow(1928) 及び R. W. Gurney, E. U. Condon (1929), Quantum Mechanics and Radioactive Disintegration
  2. 富永、佐野 2018 p.17.
  3. Suchocki, John. Conceptual Chemistry, 2007. Page 119.
  4. アリソン 2011 p.63.
  5. アリソン 2011 p.64.
  6. アリソン 2011 p.65.

関連項目

参考文献

  • ウェード・アリソン『放射能と理性-なぜ「100ミリシーベルト」なのか』徳間書店、2011年。ISBN 978-4-19-863218-2。
  • 富永健、佐野博敏『放射化学概論』東京大学出版会、2018年、第4版。ISBN 978-4-13-062512-8。
  • エンリコ・フェルミ『原子核物理学』小林稔、吉岡書店、1954年。
  • G. Gamow (1928), Zur Quantentheorie des Atomkernes, http://www.nssp.uni-saarland.de/lehre/Vorlesung/Kernphysik_SS13/History/Papers/Gamov.pdf
  • 山田 勝美『原子核はなぜ壊れるか 放射性崩壊の鍵』丸善出版、1987年。
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