アシュリー・トリートメント

アシュリー・トリートメントAshley Treatment)、あるいはアシュリー療法[1]、原因不明の脳症による発達障害を持つ1997年生まれ、シアトル在住の児童アシュリー XAshley X)」に実施され、物議を醸した一連の医療処置。本件は2006年10月に掲載された論文『重度の発達障害を持つ子供の成長減衰: 古いジレンマへの新たなアプローチ』(原題: Attenuating Growth in Children With Profound Developmental Disability: A New Approach to an Old Dilemma)にて発表され、2007年1月3日の『ロサンゼルス・タイムズ』に記事が掲載されたことでアシュリー自身の尊厳を巡る論争が激化した[2]

アシュリー XAshley X
生誕1997年
シアトル
別名Pillow Angel
職業N/A
配偶者無し
子供無し
匿名

経緯

両親の発表しているウェブページによると、1997年に誕生したアシュリーは生まれつき重度の脳障害を患っていた[3]。医療の進歩によって成長・生存が可能となったものの、障害児のうち1%で、人間社会で最も脆弱な存在とウェブページでは評されている[3]

2016年7月に、18年の調査を経て彼女の症状がGRIN1遺伝子における突然変異、および非モザイク一塩基多型によるものだと判明した[4]

処置

  • 子宮摘出
    • 生理痛を無くすため
    • 生理による出血を無くすため
  • 乳房芽切除
    • 乳房の発達による不快を無くすため
    • 繊維嚢胞の成長を止める
    • 体重増による褥瘡を予防

年表

  • 1997年、アシュリーは、原因不明の脳症("static encephalopathy")を持って誕生。呼吸、覚醒、睡眠は自律。環境に注意を向ける、環境に反応する、音楽を楽しむ(アンドレア・ボチェッリを好む)ことを行う。 自分で座る、物を持つ、歩く、話すことはできない。食事は経管栄養。 [5]
  • 2004年7月(6歳)、思春期を迎えることを考慮し、子宮摘出、乳房芽切除、虫垂切除術シアトル子ども病院において受ける。
  • 2004年8月、エストロゲンによる成長抑制(身長抑制)療法開始。投与量一日400グラム、使用された皮膚パッチは3日毎に交換。3ヶ月毎に身長、体重、骨年齢、女性ホルモンの状態などを測定。
  • 2006年10月、医学雑誌『Archives of Pediatrics & Adolescent Medicine』で扱われる
  • 2006年12月、成長板の活動停止を進めるために行われていた、皮膚パッチを使用したエストロゲン療法を終了
  • 2007年1月、両親が匿名でブログ開始[5]
  • 2007年9月、執刀医のダニエル・ガンサーが自殺[6]
  • 病院は手術は裁判後に行われるべきだったと発表[7]
  • 2008年3月、アシュリーの両親はCNN Health 記事において初めてインタビューを受け[8]、アシュリーに対する医療処置は適切であったとする考えを発表。 アシュリーは生理による不快感、生理痛は一切経験することが無く、胸部は乳房の発育は無い。 身長は135cm、体重29kgで成人に達しており、将来的にそれぞれ20-40%の減少が見込まれる[9]
  • 2009年6月、小児内分泌学者、生命倫理学者は、「エストロゲン療法による成長減衰は安全で、歩行不能児童の生活の質(QOL)向上に有効[10]。」と発表

脚注

出典

  1. 児玉 2011, p. 17.
  2. 児玉 2011, pp. 16-17.
  3. A slide summary of the "Ashley Treatment" (pdf)”. 2008年5月13日時点のオリジナルよりアーカイブ。2008年5月6日閲覧。
  4. Updates on Ashley's Story (2018年8月25日). 2020年1月28日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年1月28日閲覧。
  5. The "Ashley Treatment"”. 2012年7月15日閲覧。
  6. 児玉 2011, p. 196.
  7. Disability Studies at the University of Idaho: The "Ashley Treatment" is ruled illegal
  8. http://www.cnn.com/2008/HEALTH/conditions/03/12/pillow.QA/index.html 'Pillow angel' parents answer CNN's questions, CNN, 2008-03-12
  9. Burkholder, Amy Disabled girl's parents defend growth-stunting treatment, CNN, retrieved 2008-03-12
  10. http://pediatrics.aappublications.org/cgi/content/full/123/6/1556 Growth-Attenuation Therapy: Principles for Practice, 2009-06, PEDIATRICS

参考文献

  • 児玉真美 『アシュリー事件 メディカル・コントロールと新・優生思想の時代』 生活書院、2011年9月22日。ISBN 978-4-903690-81-0。 NCID BB07070071
  • "Attenuating growth in children with profound developmental disability: a new approach to an old dilemma." 2006 Oct;160(10):1013-7. Gunther DF, Diekema DS.

外部リンク

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